馬産地コラム

ディープインパクトを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2013年05月23日
  • ディープインパクト
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    ディープインパクト

 その名前が示すとおりに競走馬としても強烈なインパクトを残し、また種牡馬となってからもその輝きを増幅させているディープインパクトを、社台スタリオンステーションに訪ねた。

 2005年5月29日。第72回日本ダービー(G1)。ダービーは、ダービーデイにしかない独特なムードの中で行われるが、この日の東京競馬場はいつもにも増して不思議な空気感が競馬場全体を包む込んでいた。

 主催者から来場者に向けて用意されたのはディープインパクトのポスター付きレーシングプログラム。そして馬場内にはディープインパクトの馬像が備えられていた。先行きの不透明感漂うなか「ヒーローを渇望する」時代を象徴するようなダービーだった。

 父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア。ディープインパクトは、ディープインパクト以前から良血馬だった。そこが、ハイセイコーやオグリキャップとの決定的な差だ。牡馬としては小柄な体が嫌われたというが、それでも7350万円(税込)。とてもじゃないが、一般的には「安価」とは呼べないような評価を受けた。そして、連勝街道を突き進む。単勝支持率はダービー史上最高の73.4%。出走馬は18頭いたが、ほぼ4人中3人がディープインパクトの勝利を信じて疑わない。そんなダービーで、この不世出の名馬はファンや関係者が期待する以上のパフォーマンスを発揮してダービーウイナーとなった。

その後の活躍は稿を待たない。通算成績は14戦12勝。現役引退時には、日本競馬史上最高額となる51億円の評価を得て種牡馬入り。

 そして、その産駒はデビューするや、いきなりデビュー初年度にJRAで勝馬数34頭で41勝をマーク。アグネスタキオンが持っていた2歳勝利頭数、サンデーサイレンスが持つ新種牡馬の2歳勝利数、収得賞金をあっさりとクリアすると、その勢いは年が明けても衰えることなくマルセリーナの桜花賞(G1)優勝、リアルインパクトの安田記念(G1)優勝。そして海外からはアクアマリンのアレフランス賞(G3)優勝の報が飛び込んできた。すると、2年目産駒はさらにヒートアップ。ジェンティルドンナ、ディープブリランテ、ヴィルシーナ、ジョワドヴィーヴルのほか、ビューティーパーラーが仏1000ギニー(G1)に勝利するという快挙を成し遂げ、3年目産駒のアユサンへとつながった。桜花賞(G1)は3年連続制覇&2年連続ワン・ツー・フィニッシュ。2年連続総合サイアーランキング首位。3年連続2歳チャンピオンサイアー。

 競馬に絶対はないが、ディープインパクトには絶対があった。

 そんなディープインパクトが2年連続父仔制覇を託すのは、キズナ、そしてヒラボクディープの2頭だ。
 今年も忙しい春を迎えているが、北の大地から孝行息子たちの活躍を祈っている。