馬産地コラム

オレハマッテルゼを訪ねて~イーストスタッド

  • 2013年02月26日
  • オレハマッテルゼ
    オレハマッテルゼ
  • 気性は落ち着いてきた
    気性は落ち着いてきた
  • 尾花栗毛の馬体
    尾花栗毛の馬体
  • ハナズゴールの重賞勝ちで人気上昇中
    ハナズゴールの重賞勝ちで人気上昇中

 2006年の高松宮記念(G1)優勝馬オレハマッテルゼ(ノーザンファーム生産)を訪ねた。現在は浦河町のイーストスタッドで種牡馬生活を送っている。

 「おかげさまで、昨年は過去最多の交配頭数を記録し、忙しいシーズンとなりました。夏秋はじっくり休養し、体調面は万全です。」と、近況を伝えてくれたのは、同スタッドの青木大典場長。真っ白な雪に栗色の毛並みが映える。トレードマークの金髪は国内種牡馬では珍しく、放牧地エリアではいたく見つけやすい。

 「サンデーサイレンス産駒らしく、気の強い馬ですね。以前はチャカチャカしていましたが、最近は落ち着いてきました。種付けは好んでいる馬で、非常に前向きに取り組んでいます。」と、6年以上の付き合いとなる青木場長は、そのキャラクターをさらりと紹介する。

 現役時代は38戦9勝(2着8回)。今春、同スタッドに種牡馬入りしたオウケンブルースリと同じく、栗東・音無秀孝厩舎の所属馬だった。デビューはその世代の新馬戦終了後と遅く、7月に未勝利を脱出。その後は幾度か負けを喫しながら、地道に500万、1000万、1600万と階段を上がる。着実に力をつけた5歳春、重賞初挑戦を果たした京王杯スプリングC(G2)で2着に入るや、続くオープン特別・重賞でも好走。迎えた6歳春の高松宮記念(G1)。自身初の芝1200m戦ながら巧みに立ち回り、見事最速馬の頂点に立った。

 種牡馬としてはこれまで2世代がデビューし、初年度産駒からチューリップ賞(G3)、京都牝馬S(G3)を制したハナズゴールが華々しく登場している。「父同様、産駒は芝短距離~マイルを得意としているようですね。マッテルゼは6歳でG1を勝った馬ですから、成長力も期待できます。今年から古馬となる初年度産駒の走りにも注目していきたいですね。」と、青木場長は声を弾ませる。

 昨年はハナズゴールの重賞Vに加え、HBAトレーニングセール上場産駒が公開調教で抜群の動きを披露し、1,000万円オーバーの取引馬も現れたことから、シーズン後半に交配頭数が一気に伸びた。青木場長は昨シーズンを振り返り、「出足は鈍かったのですが、4月末~6月にかけて種付けは混みましたね。連日3、4回こなしていました。地元・浦河の牧場以外からの反応も上々ですし、ハナズゴールの頑張りも頼もしい限り。大物を出せる種牡馬だと思います。」と、その表情に自信の色を漂わせる。

 じわりと上昇してきた人気・実績に対し、種付料はほぼ据え置き。競合相手の多いサンデーサイレンス系種牡馬ながら、軌道は確かなものへ。派手な容姿は俄然貫録を増してきた。昨年は祖母ダイナカールの一族から、ルーラーシップがG1を制覇。先日、フェブラリーS(G1)を制したグレープブランデーは、マッテルゼと同じく“母の父ジャッジアンジェルーチ”という血統。追い風に金髪がなびいている。