馬産地コラム

ドリームジャーニーを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年12月13日
  • ドリームジャーニー
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 2006年の朝日杯フューチュリティS(G1)優勝馬ドリームジャーニーは北海道安平町の社台スタリオンステーションで2年目シーズンを迎えようとしている。

 年が明ければ9歳になるが、放牧地では全身からフレッシュさを醸し出して、年齢以上の若さをアピールしている。薄い皮膚とキビキビした動きが美しい。あまりじっとしているタイプではないが、かと言って無駄に動き回る様子もない。そういえば、激しい気性で知られる父ステイゴールドも放牧地では無駄な動きをするようなタイプではない。激しさをじっと内に秘めて、その激しさを爆発させるときを待っているような、そんなタイプだ。

 このときもそうだった。見知らぬ取材者に対して、無視はできないとばかりに近寄って睨みをきかせるものの、こちらが怪しいものではないと理解すると再び草を噛み始める。一心不乱に草を噛みながらも、よく動く耳が観察力、注意力の高さを示している。

 「オルフェーヴルの影に隠れてしまいがちですが、この馬はすごい馬なんですよ」と社台スタリオンステーションでの評価は高い。2歳チャンピオンにして、古馬チャンピオン。朝日杯フューチュリティS(G1)ではとても届かないような位置から豪快に脚を伸ばしてローレルゲレイロの野望を打ち砕いた。今、改めてVTRを見直すと蛯名騎手が言うように「軽く」飛んだのではなく、「本当に」飛んだということが良くわかる。小さな体で57キロを背負ったクラシックシーズンは健闘の域を出なかったが、4歳夏には57キロを背負った小倉記念(Jpn3)、朝日チャレンジC(G3)を連勝し、5歳時には春秋のグランプリレースを連覇。偉大なる全弟にない「2歳チャンピオン」のタイトルを含めG1レース3勝。競走馬としては十分すぎるくらいの実績を積み上げて種牡馬となった。

 「初年度は95頭の繁殖牝馬に配合しました」という。悪くない数字だが、その実績と比較するとやや物足りなさも感じる。しかし、09年のフラワーC(G3)優勝ヴィーヴァヴォドカ(父ダンスインザダーク)はじめ08年のJRA賞最優秀3歳牝馬リトルアマポーラの母リトルハーモニー(父コマンダーインチーフ)、09年の共同通信杯(G3)優勝ブレイクランアウトの母キュー(父フレンチデピュティ)、10年の関東オークス馬シンメイフジの母レディミューズ(父ティンバーカントリー)のほか、ディープインパクトの近親ルヴァンクレール(父ディンヒルダンサー)らの名前も見えて、十分な陣容だ。

 「ドリームジャーニー最大の武器は筋力だと考えています。ある程度の馬格に恵まれて、この馬の筋力を受け継いだ仔が生まれたら、それは素晴らしいことだと考えています。ぜひ、ステイゴールド系を確立させて欲しいですね」と夢を広げている。