馬産地コラム

ジャングルポケットを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年11月21日
  • ジャングルポケット
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 第48回福島記念(G3)を制したダイワファルコンの父、ジャングルポケットは社台スタリオンステーションで11年目シーズンに向けて鋭気を養っている。そして、このダイワファルコンの勝利で2006年の産駒デビューからの連続年度重賞勝利を「7」と伸ばしている。

 競走馬のふるさと案内所の馬産地見学ツアー。そのスタリオン見学の最後を飾った社台スタリオンステーションの種牡馬展示で、トップをきって登場したのがこの馬だった。太りすぎず、やせすぎず。程よく引き締まり、14歳という年齢を感じさせない体は充実した種牡馬生活を雄弁に物語っているようだった。「自分自身で健康管理ができる馬」というのも名種牡馬の条件のひとつだと思う。そういう賢さを、産駒にも感じる。ツアー当時、解説いただいた同スタリオンの三輪圭祐さんが「秋のジャングルポケット産駒に期待してください。必ず大きいところを勝ってくれると思います」と語った言葉がはからずも“予言”となった。

 3歳春のダービー(G1)で世代の頂点にたったジャングルポケットは、同年秋のジャパンカップ(G1)で連覇を狙ったテイエムオペラオーをやぶり、高らかに世代交代を宣言した。ダービー馬が同年秋にジャパンカップ(G1)を制したのは史上初めてのこと。日本産馬が3歳でジャパンカップを制したのも初めてのことだった。わずか13戦。しかし、その13戦はとても中身が充実したもので、世界にその名を知らしめるには十分だったのかもしれない。種牡馬デビューを果たした03年秋には南半球ニュージーランドのリッチヒルスタッドへのシャトルが決まり、ニュージーランドで3シーズン、そしてオーストラリアで1シーズンの供用も経験している。そのときに生まれたジャングルロケットが2009年のニュージーランドオークス(G1)を制したのも記憶に新しい。 

 事務所からほど近い放牧地。すぐ近くには同世代でしのぎを削ったマンハッタンカフェがいて、そして隣の放牧地にはネオユニヴァースがいる。マイペースといえばよいのだろうか、周囲の馬が鳴いても、走っても、あまり動じることなくただひたすらに草を噛み、そして気が向けば放牧地の中を歩き回っている。独特の歩様が優雅さを感じさせる。

 今週行われるジャパンカップ(G1)には昨年2着の雪辱を期すトーセンジョーダンを筆頭に、オウケンブルースリ、そしてジャガーメイルと3頭のG1勝馬をラインナップ。父仔制覇を狙うと同時に07年から続いている連続年度G1勝利の継続も狙う。

 勝つことも大変なことだが、この舞台に3頭の産駒を送り出すこともまた素晴らしいこと。これらジャングルポケット産駒にも、ぜひとも声援を送ってほしい。