馬産地コラム

スペシャルウィークを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年11月12日
  • スペシャルウィーク
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 社台スタリオンステーションのいつもの場所に、17歳のシーズンを終えたスペシャルウィークがいた。のんびりと、そしてゆったりと。現役時代は日本ダービー(G1)を5馬身差で勝ち、春秋の天皇賞(G1)とジャパンカップ(G1)にも勝った。競馬のもっとも華やかな舞台で、もっとも美しいスポットライトを浴び続けた馬だ。そんな現役時代のイメージからは想像もできないほど穏やかに、放牧地での時間を過ごしている。

 父内国産馬として、日本調教馬として初のアメリカG1制覇を成し遂げたシーザリオ。それからJRA歴代2位、牝馬としては最高の獲得賞金を記録したブエナビスタを送り出してきた。ほか日本ダービー(G1)2着のリーチザクラウンにインティライミ。皐月賞(Jpn1)2着のトライアンフマーチなどの父だ。産駒は9年連続でJRA重賞に優勝。種牡馬としてもトップスタリオンの地位を不動のものとしているが、近年ではディープインパクトを筆頭とする若いサンデーサイレンス系種牡馬の台頭に、活躍の場を奪われつつあった。それが2012年になるとゴルトブリッツが交流重賞の帝王賞(Jpn1)に勝ち、ローマンレジェンドはダート界の新星として快進撃を開始。また北海道2歳優駿(Jpn3)もアルムダプタが優勝し、ダート競馬での活躍が目立ってきた。

 「ダートの重賞を勝ったのは昨年のアンタレスS(G3)(勝馬ゴルトブリッツ)が最初です。それまでダート重賞の実績は皆無に等しかったのですから不思議ですよね」とスタリオンスタッフも首をひねっている。しかし、活躍の場を広げる産駒に「サンデーサイレンス系の先輩として、ディープインパクトやダイワメジャー、ハーツクライといった若い馬たちの邪魔をしないように特性を変化させているような、そんな気持ちにもなってきますね」と冗談めかす中にも本馬によせる信頼と心強さを感じさせる。

 「2012年シーズンは途中でスタリオンを変更するアクシデントもあって種付頭数はやや減らしてしまいましたが、馬はすっかり元気を取り戻しています。これまでもたくさんの活躍馬を出してくれていますが、出来ることなら後継種牡馬となるような牡馬のA級馬を欲しいですね。これまでコンスタントに配合数を確保していますから、その可能性は十分にあると思っています」とさらなる活躍を期待している。