馬産地コラム

ディープインパクトを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年09月27日
  • ディープインパクト
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 「2年目産駒も素晴らしい活躍をしてくれていますし、トーセンレーヴやグルヴェイグ、スマートロビンなど4歳以上の馬たちも結果を残してくれています。もう本当に言うことがありませんね。パーフェクトです」と社台スタリオンステーションの徳武英介さんが満足そうにディープインパクトを評価してくれた。

 初年度産駒から桜花賞馬マルセリーナ、リアルインパクト。そして2年目産駒からはディープブリランテ、ジェンティルドンナを送り込んでくれたディープインパクトはサラブレッドにおける血統の正しさを教えてくれているような気がする。数々の名馬を魔術師のような言葉で表現してくれた徳武さんをもってしても、「すごいという以外に表現が見当たりません」と言わせるのがディープインパクトのすごさだ。

 そんなディープインパクトは、今年も一般見学台が置かれている放牧地で過ごしている。

 日本全国が記録的な猛暑に襲われた今年の夏。馬産地北海道も例外ではなく、種牡馬の体調管理が難しい年になったが、この不世出の名馬は、その点も難なくクリアしたようだ。

 広めの放牧地を自由気ままに歩き回る姿が印象的だ。「動くのが好き」というのが大げさでないのがよくわかる。ほかの種牡馬は日陰で涼をとったり、またぐったりとしているが、この馬だけは元気に歩き回っている。それゆえに体型も若さを保ったままだ。

 「今年は自己最多となる246頭に配合を行いましたが、大きなトラブルなくこなしてくれました。これだけの頭数を限られた期間の中でこなすとなると混み合う時期もあるのですが、種牡馬の都合に合わせてくれる繁殖牝馬が多かったというのが印象的ですね」と忙しかったシーズンを振り返ってくれた。ご存知の方も多いと思うが、繁殖牝馬はいつでも種付けしていいというわけではない。妊娠しやすい期間というのは個体差にもよるが、21~25日周期で訪れる1回の発情のうち4-5日。比較的空いている種牡馬であれば繁殖牝馬の都合で種付けを行えるが、ディープインパクトのような多忙な種牡馬は、種牡馬のタイミングで種付けしなければならないこともある、

 サンデーサイレンス直仔の種牡馬は数多いが、その中でも代替がきかない種牡馬、それがディープインパクトなのだ。

 この秋は、三冠馬から三冠馬、というフレーズが現実味を帯びてきた。また、来年は現役を引退した三冠牝馬アパパネとの“12冠配合”も伝えられている。現役時代からファンに大きな夢を与えてくれたディープインパクト。その夢の続きを、楽しみにしたい。