馬産地コラム

ダイワメジャーを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年09月26日
  • ダイワメジャー
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 秋になると、ダイワメジャーを思い出す。

 正確にいえば皐月賞馬であり、春の安田記念(G1)の優勝馬でもあるのだが、やはり5歳秋の毎日王冠(G2)~天皇賞(秋)(G1)~マイルチャンピオンシップ(G1)の3連勝と翌年に成し遂げたマイルチャンピオンシップ(G1)2連覇は印象深い。

 サンデーサイレンス産駒としてディープインパクトに次ぐG1レース5勝。JRA史上8頭目の10億円ホース、そして半妹ダイワスカーレットの活躍。種牡馬として成功する要素はたくさんあったけれども、サンデーサイレンス産駒らしからぬパワーで押し切るレースぶりと負けたレースの数に疑問符を投げかけた声があったのも事実だ。

 しかし、種牡馬として産駒をデビューさせるや、エピセアローム(小倉2歳S(G3))らの活躍でファーストシーズンチャンピオンサイアーになり、年が明けてもトーセンベニザクラ(フェアリーS(G3))カレンブラックヒル(NHKマイルC(G1))などで外野の声は完封。いまやサンデーサイレンス系を代表する系統のひとつにまでなった。

 「期待どおりの活躍で、嬉しいかぎりです」と社台スタリオンステーションの徳武英介さんが胸を張った。

 と、いうのもまだ年が明ける前の12月初旬に発表された同スタリオンけい養種牡馬の2012年度種付料で、ダイワメジャーはディープインパクト、キングカメハメハとともに「種付時までに全額納入」という条件が付与されたからだ。この条件は前記3頭のみ。すでにG1実績がある数々の種牡馬も「受胎確認後支払い」であり、付加価値的にその差は大きい。

 「やはり、ダイワメジャーが持っているイメージどおりの産駒が多かったことが大きいと思います。新馬戦に強く、タフでスピードがある馬が多いことから、種付シーズンの前から高い評価をいただきましたし、馬のプライドを尊重した種付料が正しかったことが証明できて嬉しいです」と相好を崩している。現3歳世代で新馬戦において最も多い勝馬を出したのがディープインパクトの18頭。ダイワメジャーは16頭で、単独2位だった。

 そんな産駒の活躍によって、この春は244頭の繁殖牝馬に配合を行った。

 「春シーズンに産駒がどんどん活躍してくれましたので、シーズンを通してほぼ途切れることなくお申し込みを頂いたことがこうした数字になったと思います。サンデーサイレンス系にあっては、比較的短い距離を得意とした馬ですし、自分のカテゴリーをしっかり守って、この分野を伸ばして欲しいです」と期待している。

 当のダイワメジャーはといえば、一般見学台から見ることができる放牧地で春シーズンの疲れを癒していた。骨太く、筋肉量の豊富な馬体は現役時代よりも貫禄を増しているようだ。隣接する放牧地には、同期のキングカメハメハに代わり、昨秋からはタニノギムレットが移動してきたが、あまり気にする様子もない。取材に訪れた暑い夏の日は、木陰から出ようとせずにマイペースを貫いていた。2年目産駒も順調に勝ち上がって9月25日現在で新馬勝頭数はディープインパクトを抑えて1位タイの8頭。9月22日に阪神競馬場で行われたききょうSでは産駒によるワン・ツー・フィニッシュを決めている。この先、どこまで数字を伸ばせるかも、期待したい。