馬産地コラム

キングカメハメハを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2012年09月20日
  • キングカメハメハ-1
    キングカメハメハ-1
  • キングカメハメハ-2
    キングカメハメハ-2
  • キングカメハメハ-3
    キングカメハメハ-3

   社台スタリオンステーションから2012年の種付頭数が発表された。

   もっとも忙しい春となったのがキングカメハメハ。昨年、一昨年の266頭にはやや及ばなかったものの251頭の牝馬に配合。堂々と3年連続の首位を守り通した。

   昨年の秋から、一般見学台のある放牧地からスタリオンなかほどの放牧地へと移動したキングカメハメハを、社台スタリオンステーションに訪ねた。気軽に会いに行くことができたファンの方にとっては少し残念かもしれないが、比較的閑静で、緑に囲まれた放牧地だ。隣には新種牡馬のヴィクトワールピサがいるが、もともとあまり無駄なことをするのを好まずに、マイペースなところがあるキングカメハメハ。新人とも互いに干渉しあうこともなく静かに時間を過ごしていた。気温があがる時間には木陰に移動し、快適な時間を過ごしているように見える。

   2012年は8月末日現在で、首位を走るディープインパクトとともに3位以下を大きく引き離して激しいトップ争いを演じている。

   同スタリオンの徳武英介さんは「キングマンボは、今年もエンケがキャメロットの英国三冠を阻止したように世界中で活躍馬を出していますが、その中でもキングカメハメハは日本におけるエース格。昨年、そして一昨年と総合チャンピオンサイアーとなり、今年はルーラーシップが香港で強い勝ち方をしてくれました。“エース”に恥じない成績を残していることを嬉しく思います」と産駒の活躍に胸をなでおろしている。

   「今年は短い距離でロードカナロア、長い距離でケイアイドウソジン。中距離でルーラーシップとトゥザグローリー。それから2歳世代かもコディーノと年齢や距離に関係なく活躍馬が出ていることがランキングを押し上げています。それから。ダート。この部門ではディープインパクトの追随を許しません」とオールマイティな能力を強調し「種付けに対して意欲的で、受胎率が良いのも強みになっています。サンデーサイレンス系の優れた牝馬がどんどん集まってくるのは嬉しい限りです」と言い、ディープインパクトとの首位争いについては「この2頭は種牡馬として、どちらが優れているかを論じるレベルではないと思います。結果としての数字は受け止めますが、どちらもハイレベルの素晴らしい種牡馬ということは、これまでの実績が証明しています」とこだわりを見せない構えだ。

   ただ、その一方で「これだけの馬ですから、種付けを希望する馬があとを絶たない現状です。真面目な馬でそれに応えてしまうのですが、オーバーワークにならないように注意を払っていきたい」と、のんびりと疲れを癒しているキングカメハメハを頼もしく思っていながらも、その体調管理には最大限の注意を払っているようだ。