馬産地コラム

スターリングローズを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2012年07月26日
  • スターリングローズ
    スターリングローズ
  • 今年は80頭以上の交配牝馬を集めた
    今年は80頭以上の交配牝馬を集めた
  • 放牧地内でよく体を動かしている
    放牧地内でよく体を動かしている
  • 年齢以上に若く、種付けもタフにこなす
    年齢以上に若く、種付けもタフにこなす

 2002年のJBCスプリント(G1)の勝ち馬スターリングローズ(タバタファーム生産)を訪ねた。今年7月、産駒アスカクリチャンがサマー2000シリーズ・七夕賞(G3)を制し、待望の父仔JRA重賞制覇を飾った。

 2月から続いた種付けシーズンが終わりを迎え、スタリオンには穏やかな夏が訪れている。「今年は80頭以上の交配があり、平均して1日3、4回種付けをこなしました。タフな馬で、毎年順調に乗り切っています。種牡馬としての自覚は高く、シーズン前は自ら体を作って、キリッとしています。年齢以上に若々しくて、まだまだこれからの馬です。」と、近況を語るのは優駿スタリオンステーション主任の山崎努さん。2005年に種牡馬入り後、毎年コンスタントに60頭前後の交配牝馬を集め、8シーズン目にしてなおも数字を伸ばすあたり、種牡馬としての底力を感じる。

 現役時代はダート短距離~マイルを得意とし、JBCスプリント(G1)をはじめ、かしわ記念(G2)、プロキオンS(G3)2連覇など、ダート重賞を6勝した。500kgを超す大型馬ながらも、卓越したレースセンスを武器に、サッと好位置につけて着実に伸びるタイプ。通算40戦のうち、掲示板を外したのはたった9戦と、抜群の安定感を誇った真面目なアスリートだった。馬券を買う際、軸馬として信頼を寄せたファンも少なくなかっただろう。

 産駒は5世代がデビューし、父同様ダートで勝利する産駒が多い。仕上がりも早く、地方ではクーヨシン、シーギリヤガール、ダイリンウィークが2歳ダート重賞を制した。対して、芝の重賞馬に上り詰めたアスカクリチャンは異色と思われるかもしれないが、調べてみると産駒のJRA特別勝利は芝に集中。スターリングローズ自身、芝の1000万特別を勝利している上に、全姉にオークス(G1)2着のゴールデンジャック、甥に芝重賞3勝のサイドワインダーという血統背景を考えると、芝適性の高さは疑いない。アスカクリチャンが芝中距離重賞を好時計で勝ったことで、スターリングローズの種牡馬としての万能さが色濃く伝わり始めている。

 コツコツと息子、娘が快走を重ね、じわじわと人気は熱を帯びてきた。手頃な種付料ながらきっちり勝利を仕留める_ニーズはその“コスパ”にもあるのかもしれない。実績を増し、かつてダート・トップサイアーに君臨したアフリートの後継種牡馬としてのポジションも築きつつある。山崎さんは、「ダートでスピードを生かす産駒が目立っていますが、きれいな体型を受け継ぎ、芝で活躍する産駒も現れています。2歳戦でも古馬戦でも実力を発揮しているし、種付料以上によく走っていると思います。これからも重賞戦線をにぎわせる馬を出していきたいです。」と、意気込んでいる。