馬産地コラム

ビコーペガサスを訪ねて~ローリングエッグスクラブ ステーブル

  • 2012年06月08日
  • ビコーペガサス
    ビコーペガサス
  • 腰の具合は問題なく、元気いっぱい
    腰の具合は問題なく、元気いっぱい
  • 小柄ですが、食欲は旺盛です
    小柄ですが、食欲は旺盛です
  • 長生きしてほしい
    長生きしてほしい
  • 同じ牧場の長老、アサヒエンペラー
    同じ牧場の長老、アサヒエンペラー

 1994年の京成杯(G3)、1995年のセントウルS(G3)の勝ち馬、ビコーペガサス(アメリカ産)を訪ねた。2006年に種牡馬生活を引退し、現在は新ひだか町静内のローリングエッグスクラブ ステーブルで功労馬となっている。

 「腰に不安のある馬で注意しながら管理していますが、安定して良い状態を保っています。今年21歳となりますが、まだまだ“おじいちゃん”という感じではなく、年齢以上に若いですね。去勢をしていないので、馬っ気を出すこともあります。」と、スタッフは語る。牧場での呼び名は「ペガ」。放牧地では1頭で放牧しており、草を食んだり休息したり、自由な時間を楽しんでいる。

 現役時代のビコーペガサスといえば、芝短距離~マイルできっちり末を生かしてくる印象。スピードタイプとしては珍しく小柄で、馬体重は2歳秋のデビューから7歳まで430kg前後で推移した。1995年のスプリンターズS(G1)では巨漢馬ヒシアケボノと勝ちを争い、100kg以上の体重差ながら互角の速力をアピール。初勝利と2勝目はダートで、フェブラリーS(G1)4着の実績があり、ダートも苦にしない。堅実に走る一方で、差し・追込脚質の宿命か、ゴール前僅かに間に合わずの結果もままあり、G1を含めた重賞で勝ち馬から0.0~0.3秒差の2着が3回、3着が2回、4着が2回。ポテンシャルの高さを見せながら、悔しい負けがある分、「重賞2勝」の成績以上に記憶に刻まれている馬なのかもしれない。

 種牡馬としては29頭の産駒がデビューし、マグネティックマン、ジョニーノデンゴンが中央中級クラスまで活躍するも、父を超すような産駒には恵まれなかった。血統自体は父が名種牡馬Danzig、母はヨークシャーオークス馬という良血で、牝系からはシンボリグランが出ている。

 馬産地はようやく春から初夏へ。住まいは山に近く、夏季は海岸に近い地域に比べるとグッと気温が上がる。「川も近いので、この地域は虫が多いです。夏は暑い時間帯を避けて、状況に応じて夜間放牧をする予定です。これからも元気に歳を重ねて欲しいですね。」と、スタッフ。同牧場では昨今、ライフタテヤマ、ミスターシクレノン、シンチェストが大往生したが、29歳のアサヒエンペラーをはじめ、仲間の馬たちも年齢以上に若々しく、充実した老後を過ごしている。ビコーペガサスもいずれ、長生きの一頭に数えられていくに違いない。