ブリリアントロードを訪ねて~日高町家畜自衛防疫組合(旧五輪共同育成センター)
1999年の新潟大賞典(G3)、新潟記念(G3)の勝ち馬ブリリアントロード(大栄牧場生産)を訪ねた。引退後は福島県南相馬市で余生を過ごしていたが、東日本大震災の影響を受け、現在は被災馬の一時受け入れをしている日高町の日高町家畜自衛防疫組合(旧五輪共同育成センター)にいる。
北海道には2011年9月6日に入り、日中は広い放牧地で集団放牧している。牧場スタッフによると、「どちらかというと小柄なタイプですが、飼い葉をしっかり食べています。環境にも慣れてリラックスしていますよ。」とのこと。北海道の2、3月は放牧地が一面雪に覆われてしまうが、与えられた投げ草をもしゃもしゃと食べて、寒さに負けない体を作っている。
ブリリアントロードは父ブライアンズタイム、母マリーテイスティ、母の父ノーザンテーストという血統。今から18年前、ナリタブライアンがクラシックを制し、ブライアンズタイムの人気に一気に火が付いた頃に交配されて誕生した。最近、生産者である大栄牧場の浜口寛社長に、ブリリアントロードにまつわるお話を聞いている。
「当歳時も小ぶりな馬でしたが、大きな期待をかけていました。新潟で重賞を勝った時は2回とも現地で応援していました。人気がない時に勝つ馬で、いつも驚かされたことを思い出します。」(浜口社長)
浜口社長はブリリアントロードが引退した後も、福島県の繋養先まで足を運び、再会を果たしたこともあったという。日高町へと疎開していると聞き、“会いに行きたいな”と馬を思い浮かべていた。
今年17歳となるが、放牧地の様子を見ている限りは老いを全く感じない。食べては動き、食べては動き、他の馬に威張ることもなく、マイペースに過ごしている。日頃、お世話をしている牧場スタッフは、「到着して間もない頃は想像以上に早く放牧地の草がなくなって驚きましたが、ここの施設は広さに恵まれているので、十分に対応できています。これまで順調に来ていますし、無事に戻してあげられるように、これからも最善を尽くしていきます。」と話す。
体のバランスが良く、脚捌きはとても素軽い。3歳から10歳までタフな競走生活を送った馬でもあり、運動神経の良さや頑丈さを生かして、伝統行事・相馬野馬追にもまだまだ参加できそうだ。意気揚々と歩いているその姿は、被災地に元気を届けるための力強い足取りに思えてくる。