馬産地コラム

ダイナマイトダディを訪ねて~十勝軽種馬農協種馬所

  • 2012年04月18日
  • ダイナマイトダディ
    ダイナマイトダディ
  • 放牧地の除雪された道を走る
    放牧地の除雪された道を走る
  • 冬の寒さにも強く、馬服に頼ることも少ない
    冬の寒さにも強く、馬服に頼ることも少ない
  • 今も元気一杯に駆け回っている
    今も元気一杯に駆け回っている

 1992年の中山記念(G2)、京王杯スプリングカップ(G2)の勝ち馬、ダイナマイトダディ(社台ファーム白老生産)を訪ねた。2007年に種牡馬生活を引退し、現在は十勝軽種馬農協種馬所で功労馬として余生を過ごしている。

 「特に変わりなく、体調面は安定しています。歯もしっかりしていて、飼い葉を残さず食べています。脚元も爪も全く問題ありませんし、雪上を元気一杯に走っています。昔は気性の荒い馬でしたが、年齢を重ねて素直になってきましたね。」と、近況を伝えるのは管理する中川郁夫さん。牧場での呼び名は“ダディ”。今年24歳となるが、馬体はピンとしていて、健在をアピールしている。

 3月とはいえ十勝地方は雪が残っており、春という感覚はゴールデンウィークあたりから。厳しい寒さの時期は気温が上がる時間帯に絞って放牧している。時には1m近い積雪を記録することもあり、放牧地をそのままにしておくと馬の脚がズボッと深く埋まってしまうほど。中川さんは、「大雪の後は放牧地の中を必ずトラクターで除雪しています。運動できなくなってしまいますからね。」と、冬仕事に触れる。長らく紡いできた信頼関係から、中川さんの合図でダディは走りやすい放牧地をサッと駆け抜ける。人間でいえばおじいちゃんの年ごろだが、その走りは迫力十分。やはり重賞馬のプライドが成せるわざだろうか。

 「今でも全国各地からファンレターやリンゴ、ニンジンなどが届きますし、会いに来てくれる人がいると、馬もとても喜んでいるようです。競馬というのは夢を与える商売だし、サラブレッドは人にエネルギーを与えられる生き物ですよね。ダディにもファンに元気を与える存在として、これからも元気でいて欲しいです。」と、中川さんはエールを送る。毎月のように大きなカメラを持ったファンが、放牧地での写真を撮っていくそうだ。そのルックスは四白流星で、非常に写真映えする風貌だ。新緑の季節にはより一層絵になる馬として、老いてなおパワーをみなぎらせながらファンを迎えてくれるだろう。