イシノサンデーを訪ねて~十勝軽種馬農協種馬所
1996年の皐月賞(G1)の勝ち馬、イシノサンデー(服部和則氏生産)を訪ねた。1999年に種牡馬入り後は千葉、青森、九州、静内と全国各地の種馬場で起用され、2010年12月より十勝の十勝軽種馬農協種馬所へやって来た。
日頃お世話をしている中川郁夫さんにお話を伺うと、「体調はすごく良いですよ。十勝の環境にもすっかり慣れましたね。」と、第一声。自慢の四白流星のルックスは派手さに富んでいて、その個性に見とれる見学客も多い。
「大きくて綺麗な馬でね。十勝まで会いに来てくれる方に、元気を与えてくれるような存在です。」と、中川さんはニンマリ。厳しい寒さの冬期もお湯を飲ませたり、乾草を十分与えたり、しっかりエネルギーをつけて体力維持に努めている。20歳を前にして600kgを超える立派な馬体は、なるほどパワーがみなぎっている。
放牧地ではとにかく元気一杯なイシノサンデー。立ち上がってみたり、寝ころんでみたり…落ち着きがないともとれるが、それもまた持って生まれた個性のようだ。そういえば、現役時代は集中力を高めるシャドーロールがトレードマークでもあった。イシノサンデーの血統表を眺めながら中川さんが口を開く。
「普段、チャカチャカする面はサンデーサイレンス産駒の特徴ですね。あと、母の父がAlydarでしょう。こちらの種馬所にいたリンドシェーバーもそうだったのですが、Alydarの血を引く馬はカーッとしやすい面があるようで、イシノサンデーにも共通する部分を感じます。この気性が闘争心として産駒に遺伝すると、種牡馬としてのセールスポイントにつながりますね。」
一見、マスコットキャラクターのような可愛らしさを感じるイシノサンデーも、激しいレースに求められる強いメンタルを持つG1馬。獲物を捕えるようなキレで突き抜けた皐月賞(G1)の直線を思い出す。
初年度から10年続けて種付けをこなしていたが、なかなか産駒実績を伸ばし切れず、最近は種付けの機会を得られていない。
「今年は“交配を考えている”という問い合わせを受けています。1頭でも多くの繁殖牝馬を迎えたいですね。」と、中川さん。縁の深い皐月の時期を前にして、再稼働の時を待っている。