馬産地コラム

エアジハードを訪ねて~十勝軽種馬農協種馬所

  • 2012年04月09日
  • エアジハード
    エアジハード
  • 種付けに備えて体調は万全
    種付けに備えて体調は万全
  • 十勝に移動後も沢山のファンが会いに来ている
    十勝に移動後も沢山のファンが会いに来ている
  • 賢く、従順な馬
    賢く、従順な馬

 1999年度のJRA賞最優秀短距離馬、最優秀父内国産馬に輝いた名マイラー、エアジハード(社台ファーム生産)を訪ねた。昨年夏、長らく過ごした日高町のブリーダーズスタリオンステーションを離れ、現在は十勝軽種馬農協種馬所で種牡馬生活を送っている。

 「環境にも慣れて体調面は良好です。食欲十分で、好き嫌いなく何でも食べてくれます。人間の指示をよく聞いてくれる頭の良い馬ですね。種付けも上手いと聞いているので、何も心配はありません。」とは、管理をしている中川郁夫さん。現在は朝8時から正午頃までを放牧時間としている。牧場での呼び名は“ジハード”。移動して一年と経たないが見学のファンは多く、到着してまもなくの昨年9月だけでも約130名が会いにきたという。「すごい人気で、驚いています」と、中川さんは舌を巻く。

 現役時代は12戦7勝。エルコンドルパサー、キングヘイロー、グラスワンダー、スペシャルウィーク、セイウンスカイと同じ1995年生まれとして、名だたるライバルたちと相対した。優勝した安田記念(G1)ではグラスワンダーを、マイルチャンピオンシップ(G1)ではキングヘイローを下し、敗れた天皇賞(秋)(G1)でも勝ち馬スペシャルウィークに0.2秒差まで詰め寄り、トップクラスと互角の勝負を繰り広げた。

 産駒はこれまで9世代がデビューし、代表産駒は2010年の安田記念(G1)、ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)を勝利したショウワモダン。他にも、2008年のマーチステークス(G3)の勝ち馬ナナヨーヒマワリ、2007年の函館スプリントステークス(Jpn3)を制したアグネスラズベリといった重賞馬を出している。どちらかと言うと産駒は芝向きで、サクラユタカオーの系統らしく、古馬になってメキメキと頭角を現す。

 「今年も昨年並みの交配頭数をマークしたいですね。産駒が大きなところを勝ってくれれば最高ですが、中央・地方問わず上級クラスの馬を出して、存在感を示していきたいです。中にはダートの活躍馬も出ていますし、配合次第でいろいろなタイプを出せるでしょう」と、中川さんは展望を語る。競馬ファンの間で語り継がれし“最強世代”の一角として、そう簡単には若手種牡馬に負けられない。幾多の名馬たちと最前線でぶつかり合った誇りを胸に、種牡馬としての長い戦いに立ち向かっていく。