馬産地コラム

オレハマッテルゼを訪ねて~イーストスタッド

  • 2012年03月23日
  • オレハマッテルゼ
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    オレハマッテルゼ

  馬産地日高の東部地区に位置する浦河町のイーストスタッド。わかりやすく言うならば日高管内で、札幌、あるいは千歳空港からもっとも遠くにあるスタリオンがイーストスタッドだ。

  そこに第36回高松宮記念(G1)優勝馬オレハマッテルゼがいる。

  G1レース初挑戦の4歳馬シンボリグランが1番人気に支持されたレース。当時、オレハマッテルゼは4番人気だった。1200m戦初出走。18頭中6頭しかいなかった重賞未勝利馬だったということを考えれば高い評価だったのかもしれないが、デビュー26戦目の6歳馬が上位人気に支持されることが、中心馬不在の混戦模様を浮き彫りにしていた。

  どの馬にもチャンスがあったから、どこか手探りのようなレースになる。スプリントG1としてはかなりゆったりとしたペースで流れる中、33秒台の末脚で馬群を切り裂いたのがオレハマッテルゼだった。3歳5月のデビューから、約3年。1歩ずつ階段をのぼるように力をつけて、6度目の重賞挑戦での初勝利。その末脚は、まるで、この舞台をずっと待っていたかのようにも見えた。

  あの勝利から6度目の春がやってこようとしている。

  この春は、産駒ハナズゴールの活躍で一躍スポットが当たる存在になった。

  そんなことを知る由もない同馬は、騒々しくなった周囲をよそにマイペース。雪の上だろうと、泥の上だろうと、寝たくなったらゴロンと横になるそうだ。それでも、おそらくは周囲はマイペースを許さないだろう。産駒の活躍によって「チューリップ賞のあと、問い合わせ、申込は増えています。でも、この馬はまだ若いし、種付けも大好き。現役時代は前向きすぎたために長い距離は向かなかったようですが、種付けに対するスタミナは十分に持っていると思います」と同スタッドの青木大典場長が頼もしそうにいう。

  放牧地ではトレードマークともいうべき栗毛の馬体に金色に輝くたてがみをなびかせながら、草を求めて闊歩している。派手な馬体と、どことなく愛嬌のある名前でファンの多い馬だが、実は激しい気性でも知られている。「放牧地ではどっしり構えていることが多いですけど、噛むクセがあるので見学の際は注意してください」と青木場長が注意を促している。牧柵から「なででください」といわんばかりに顔を出す馬は確かにかわいいが、当案内所では「見学の際には、柵から離れて見学してください」とアナウンスしている。馬は悪ふざけのつもりでも、人間にとっては大きなケガや事故につながるケースもあるのでご注意いただきたい。

  さて、もうすぐ高松宮記念(G1)。今年は高いレベルでの混戦模様だ。秋春連覇を狙う馬。G1レース2位入線2回の雪辱を期す馬。最下級条件からの連勝で頂点を極めようという馬など6世代のスピード自慢が顔を揃えた。舞台は新装なった中京競馬場。坂のある長い直線を制して春のスプリント王に輝くのはどの馬か。ぜひご注目いただきたい。