馬産地コラム

サクラプレジデントを訪ねて~レックススタッド

  • 2012年02月23日
  • サクラプレジデント
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 第78回中山記念(G2)で芝1800m1分44秒9のレコードタイムを記録したサクラプレジデントを新ひだか町のレックススタッドに訪ねた。

 まだ新雪残るレックススタッドの放牧地で、名血の証しともいえる美しい皮膚感を醸しだしている。それがサクラプレジデントだ。

 レコード決着の朝日杯フューチュリティS(G1)で同タイム2着に敗れたあとの3冠クラシックは不完全燃焼に泣いた。皐月賞(G1)はネオユニヴァースとの叩き合いに敗れ、ダービー(G1)と菊花賞(G1)は距離に泣いた。

 休み明けとはいえ、捲土重来を期した中山記念(G2)は、絶対に負けられない1戦だった。前年の覇者ローエングリンや豪快な追い込みを武器にするサイドワインダーなどを上回る支持を集め、そして堂々のレコード勝ち。名中距離馬誕生の瞬間でもあった。しかし、そのスピード能力の代償として脚部不安を発症。今年で8シーズン目を迎えている。

 「カワキタコマンドやサクラシャイニーやサクラゴスペルなど、成長力に富み、高額条件戦を連勝する産駒が多いのが特徴的です。そういう意味では母の父にはいるマルゼンスキーの特徴が伝わっているのかもしれません。地方競馬でも活躍馬がおり芝ダート、距離の長短を問わないのも魅力的。市場でも高い評価をいただき、12歳という年齢からも、種牡馬として、もうひと花もふた花も咲かせてくれると思います。これからがとても楽しみです」とシーズンを前にレックスでは期待も新たにしている。

 そんな人間たちの思いを知る由もないサクラプレジデントは、いつものように放牧地を闊歩している。いろいろなことに興味津々。放牧地では常に行動的だ。

 「おとなしい馬ではないですが、素直な馬なのでスタリオンの中では扱い易い馬です。賢い馬で、人間が求めるものを理解してくれるような面があるので、楽ですよ」というのは同スタッドの泉山義春場長だ。そういえば、どの馬も異様な雰囲気に飲まれがちになる種牡馬展示会。馬をどう歩かせればもっとも見学者が見易いか。そのリハーサル時に選ばれたのがサクラプレジデントだった。

 もちろん、自身の本番もしっかりとした歩様を披露して、見学者の目を引いていた。「最近は活躍馬にも恵まれてきましたので、胸をなで下ろしています。忙しい春になって欲しいですね」と期待されている。