馬産地コラム

ローレルゲレイロを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2011年12月05日
  • ローレルゲレイロ~1
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  • ローレルゲレイロ~3
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  • ローレルゲレイロ~4
    ローレルゲレイロ~4

 短距離の大舞台で名をはせた快速馬ローレルゲレイロ(村田牧場生産)を訪ねた。現在は故郷から近い新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬生活を送っている。

 管理する同スタリオンの山崎努主任は、「無事に最初のシーズンを終え、元気いっぱいに過ごしています。」と、明るい表情で紹介する。身のこなしが柔らかく、賢い馬だという。父キングヘイロー、母の父テンビーは、優駿スタリオンステーションの繋養種牡馬ということで、血統的には特別な思い入れを抱かせる存在。今はオグリキャップがいた馬房で過ごしている。秋季は午前中に放牧し、来シーズンへ向けてじっくりと英気を養う。

 現役時代は31戦5勝。世代最初の新馬勝ちを決めて早々と才能を開花させるも、朝日杯フューチュリティS(G1)、NHKマイルカップ(Jpn1)と0.1秒差届かず、2、3歳時は悔しさを募らせた。キングヘイロー産駒らしく古馬となっても高いパフォーマンスは続き、その韋駄天ぶりに磨きがかかった5歳時、得意の逃げで春秋の短距離G1制覇を達成。2009年のJRA賞最優秀短距離馬に輝いた。海外遠征にも積極的で3度挑戦。6歳時にエントリーしたドバイゴールデンシャヒーン(G1)ではキンセールキング、ロケットマンらに敗れたものの、果敢にハナを奪って4着に健闘し、その素晴らしいダッシュ力を世界に示した。

 種牡馬入り初年度となった今年、41頭の花嫁を迎えた。種付けは上手く、受胎率も良い。来春、自身を彷彿とさせる天性のスピードを受け継いだ産駒が続々と誕生していくことだろう。山崎主任は、「父のキングヘイローと同じく、色々なタイプの産駒を出していけると思いますよ。もちろん大物の可能性も十分でしょう。血統を考えると芝ダート問わないでしょうし、2歳戦から活躍できると思います。」と、産駒像をイメージする。母の父であるテンビーも自身が2歳G1馬で、産駒にもフジノテンビー、サンツェッペリンといった成長早の重賞馬を出しており、近代競馬の流れにマッチした血統背景が魅力だ。

 「産駒がまた種牡馬になって、この血統が続いてくれたら最高です。」長らく向き合ってきた種牡馬たちへの思いを込めながら、山崎主任はホースマンらしい言葉で締めくくってくれた。