馬産地コラム

マンハッタンカフェを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2011年10月22日
  • マンハッタンカフェ~1
    マンハッタンカフェ~1
  • マンハッタンカフェ~2
    マンハッタンカフェ~2
  • マンハッタンカフェ~3
    マンハッタンカフェ~3

 競馬の、サラブレッドの楽しみのひとつに、ひと夏の成長を見届けることがある。そして、それが予想に、馬券に、結びつけば最高だ。

 昨年の菊花賞馬ビッグウィーク、08年のオウケンブルースリはダービー終了時点ではまだ未勝利馬だった。09年の優勝馬スリーロールスの重賞実績は毎日杯(G3)の8着のみ。また、04年のデルタブルースは未勝利戦優勝後にいちるの望みを託して青葉賞に駒を進めたが見せ場も作れず13着。02年のヒシミラクルもダービー当日に10戦目で未勝利戦を脱出した馬だった。そんな彼らが、わずか半年足らず後の秋に、頂点を極めるとはだれが予想できただろうか。

 第62回菊花賞馬で、現在は安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬生活を送っているマンハッタンカフェもダービー終了時点では1勝馬だった。夏の札幌開催で長距離特別レースを2連勝。セントライト記念(G2)こそやや重発表以上に悪化した馬場で不覚をとったが、6番人気で出走した菊花賞(G1)でみごとに大輪の花を射止めている。

 そして、その後の活躍はご存知のとおり。不敗の三冠馬シンボリルドルフ以来となる菊花賞馬~有馬記念(G1)~天皇賞(春)とG1レース3連勝。遠征した凱旋門賞(G1)は左前深屈腱炎の発症により5番人気を裏切る結果となったが、種牡馬として2009年には総合チャンピオンサイアーに輝いている。

 「マンハッタンカフェ自身は晩成でしたが、2歳の重賞勝馬もたくさんいますし、3歳春のG1勝馬もいます。産駒の幅広い活躍が種牡馬としての成績を底上げしてくれていますね」と社台スタリオンステーションの徳武英介さんの口調も滑らかだ。「言うまでもなくサンデーサイレンスの後継種牡馬の中ではトップクラスです。馬格の面だけで言えば父親を超えているケースも多く、市場での評価も高いレベルでコンスタントです」という。そして、この春はヒルノダムールが天皇賞(春)(G1)を制して1948年のシーマー~55年のタカオーに続く56年ぶり2組目の父仔制覇となり、秋には父に続く凱旋門賞出走も記録した。

 「結果は残念でしたけど、フォワ賞ではサラフィナをクビ差まで追い詰めましたし、レッドディザイアはドバイで重賞を勝ちました。マンハッタンカフェ自身も母系がドイツの良血ファミリーであることからも世界へとつながる1頭であるということは示せたと思っています」と胸を張る。

 今年も200頭を超える繁殖牝馬に配合をこなすなど元気いっぱい。13歳という年齢からも、まだもうひと花もふた花も咲かせてくれそうだ。

 さて、間もなく菊花賞(G1)。今年は春の既成勢力が貫禄を示すのか、夏のあがり馬がそれを脅かすのか、楽しみな1戦になりそうだ。