馬産地コラム

タイキシャトルを訪ねて~アロースタッド

  • 2011年09月30日
  • タイキシャトル~1
    タイキシャトル~1
  • タイキシャトル~2
    タイキシャトル~2
  • タイキシャトル~3
    タイキシャトル~3

 米国で生まれ、日仏のG1を5勝。98年には最優秀短距離馬、最優秀5歳以上牡馬、年度代表馬と三つのタイトルを手に入れ、顕彰馬にも選出された偉大な短距離馬、タイキシャトルを訪ねた。

 浦河町のイーストスタッドと新ひだか町のアロースタッドを2年置きに移動する国内シャトル種牡馬のパイオニア。現在はアロースタッドで繋養されている。

 「もう17歳になるんだっけ?見た目が若いから年齢が解らなくなっちゃう」と本間一幸主任は笑う。「種牡馬入り直後は立ち上がったり他の馬を威嚇したりとけっこううるさいところはあったね。その頃と比べればかなり丸くなったけど、他の馬に対して威嚇したり騒いだりするところは変わってないかな。馬格もあるし栗毛で目立つ。馬からも一目置かれる存在ですよ」と王様オーラを放っているそうだ。

 今年は120頭の繁殖牝馬を集め、スタッドインから13年経過しても毎年100頭前後に種付けを行う不動の人気種牡馬となっている。

 「今年に入ってからフィリーズレビュー(G2)をフレンチカクタスが勝ち、毎年コンスタントに活躍馬が出ているのは本当に凄いことだと思うし、自身の持っている豊かなスピードを確実に遺伝させる能力も素晴らしい。それ故何年も人気を持続できてるんだと思います」と本間主任は改めてタイキシャトルの能力の高さに感心しているようだった。

 ウインクリューガー、メイショウボーラーといった後継種牡馬も輩出。近年では直仔だけに留まらず、母の父としても08年のアーリントンC(G3)を制したダンツキッスイや、地方・北海道競馬の重賞、栄冠賞〔H2〕を圧勝し、南関東のヒロインになりつつある3歳馬クラーベセクレタなど、有望な活躍馬を送り出している。

 生産者からの人気も然ることながら、現役当時から圧倒的な強さと美しい尾花栗毛に魅せられたファンからの人気も高かったタイキシャトル。スタリオンには今も多くのファンが会いに訪れている。「引退してからかなり経つのに、見学に来るファンの多さは変わらないですね。馬も自分を見に来たってことを良く理解していて愛想を振りまいています。本当に賢い」と本間主任が話す通り、この日観光バスで訪れた見学者がカメラを向けると、牧柵沿いに寄って来てポーズを取るサービス精神旺盛な姿を見せていた。

 仔、孫へと引き継がれている卓越したスピードと賢さ。タイキシャトルの血脈は、これからも広がり続ける。