馬産地コラム

マヤノトップガンを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2011年08月25日
  • マヤノトップガン~1
    マヤノトップガン~1
  • マヤノトップガン~2
    マヤノトップガン~2
  • マヤノトップガン~3
    マヤノトップガン~3
  • 今年も昨年並みの繁殖牝馬を集めた
    今年も昨年並みの繁殖牝馬を集めた

 新冠町の優駿スタリオンステーションへマヤノトップガン(川上悦夫氏生産)を訪ねた。種付けシーズン14年目を無事クリアし、北海道の涼しい夏休みを過ごしている。

 朝、放牧地へ会いに行くとスタリオンの重鎮は黙々と草を食んでいた。来年20歳となるが、顔つきや馬体からは老いを感じさせない。種牡馬入り当初からマヤノトップガンに携わってきた同スタリオンの山崎努主任に近況を伺った。

 「元気に過ごしています。年齢を重ねて気性的には落ち着いてきましたね。頭の良い馬で種付けは上手です。今年も昨年並みの種付け頭数を記録しています。」夏から秋にかけては朝5時に放牧し、午後からは厩舎で過ごす。11月頃からは追い運動をして健康維持に努めているという。

 現役時代はG1を4勝。振り返ると、マヤノトップガンのベストレースを選ぶのはなかなか難しい。積極策で栄冠をたぐり寄せた菊花賞(G1)。絶妙な逃げで古馬をねじ伏せた有馬記念(G1)。正攻法の競馬で貫禄を示した宝塚記念(G1)。後方待機から大外一気を決めた天皇賞(春)(G1)。負けた中ではナリタブライアンとの一騎打ちとなった阪神大賞典(G2)も名勝負として語り継がれている。変貌自在な戦法でライバルをかき回し、スリルに満ちた走りでファンを魅了した。時代は移ろい、究極の上がり勝負が展開されている今、彼のような存在がいたらどうなるか想像してみたくなる。

 種牡馬入りしてから10年以上が経ち、マヤノトップガンは父として800頭近い産駒を競馬場に送り出した。5億円以上を稼ぎ出したプリサイスマシーンを筆頭に、鬼脚で知られるメイショウトウコン、種牡馬入りしたステイヤー・チャクラなど、高齢までタフに戦い抜くランナーを量産している。

 山崎主任は産駒について、「芝・ダートこなせますし、幅広い可能性を意識させる馬ですね。父同様に息の長い活躍が期待できますから、馬主孝行な産駒が多いと思いますよ。」と、評す。今年の目黒記念(G2)、函館記念(G3)を連勝した産駒キングトップガンも8歳にしてのパフォーマンスで、熟練されて力をつけていく典型的な産駒像を示している。

 「いろいろ工夫しながら一緒に頑張ってきて、思い入れは強いです。これだけ交配できる種牡馬もなかなかいませんよ。ファンも多くて、亡くなったオグリキャップに次ぐ人気者です。今後も大事に管理していきたいと思います。産駒の重賞勝ちは古馬での勝利なので、願わくは2、3歳戦でも結果を出していきたいですね。」と、山崎主任。

 クラシック父仔制覇を望むファンも多いだろう。築き上げた根強いニーズに応えるべく、来る20代へ向けてじっくり英気を養って欲しい。