イクノディクタスを訪ねて~五丸農場
1991年京阪杯(G3)、1992年金鯱賞(G3)、小倉記念(G3)、オールカマー(G3)と4つの重賞を制したイクノディクタス(牝24歳、父ディクタス 母ダイナランディング)を新冠町の五丸農場に訪ねた。
通算成績51戦9勝、獲得賞金5億3112万4000円は当時の賞金女王。ビッグタイトルこそないが、長く、タフに活躍した馬だった。
現役引退後、1994年より五丸農場で繁殖生活を送っていたイクノディクタス、15年間で11頭の産駒を送り出したが、2009年シーズンを最後に繁殖を引退、現在は功労馬として余生を送っている。残念ながら直仔から母を超えるような活躍馬は出ていないが、宝塚記念(G1)でワンツーを飾り、ファンから「夢の配合」と言われた初仔のキソジクイーン(父メジロマックイーン)が繁殖牝馬となり、送り出した産駒シャンハイラックがJRAで3戦したのち、ホッカイドウ競馬に移籍し24戦12勝の成績を挙げて頑張っている。
「今でも若々しいですよ。15年間一緒に暮らしてますから、白い差し毛が出てきたり、たてがみが薄くなったりと小さな変化も感じていますが、遠目には若い頃のままですね。気性もそのままです」と語ってくれたのは五丸農場の五丸久美さん。
現在は広い放牧地に1頭で放牧され、悠々自適な毎日を送っている。時折、隣の放牧地にいる仲間がスキンシップを求めてくるらしく、やはりイメージ通りのアネゴ肌なのだろう。
現在、五丸農場にはイクノハレスガタ、アンベリールと2頭のイクノディクタス直仔が繁殖入りしている。「その子供たちからも活躍馬が出て欲しいですし、最後の仔となるアイズドーター(牝3歳、父ノーリーズン)も地方競馬で2着5回と初勝利まであと少しですから応援して下さい」と語る久美さん。一族から活躍馬が現れるその日まで、イクノディクタスには元気に長生きして欲しいものだ。