馬産地コラム

オグリローマンを訪ねて~稲葉牧場

  • 2011年08月16日
  • オグリローマン~1
    オグリローマン~1
  • オグリローマン~2
    オグリローマン~2
  • オグリローマン~3
    オグリローマン~3
  • 並ぶ一族(手前からオグリローマン、オグリキャップの仔オグリエンゼル、オグリローマンの娘のオグリロマンス、オグリローマンの姉の仔オグリクェスチョン)
    並ぶ一族(手前からオグリローマン、オグリキャップの仔オグリエンゼル、オグリローマンの娘のオグリロマンス、オグリローマンの姉の仔オグリクェスチョン)

 1994年の桜花賞(G1)を制したオグリローマン(牝20歳、父ブレイヴェストローマン 母ホワイトナルビー)を新ひだか町三石の稲葉牧場に訪ねた。

 オグリローマンは1993年7月、兄オグリキャップと同じ笠松競馬場(鷲見昌勇厩舎)でデビューした。地方で7戦6勝の成績を挙げ、翌1994年に中央競馬(瀬戸口勉厩舎)に移籍し、武豊騎手とのコンビで桜花賞(G1)に優勝、兄の果たせなかった中央クラシックを制覇した。

 中央、地方あわせて15戦7勝の成績を残し、1995年春から生まれ故郷の稲葉牧場で繁殖入りしたオグリローマン。これまでの16年間に10頭の産駒を送り出している。中央重賞での活躍こそないものの、6番仔のオグリホットが地方重賞のウイナーカップ(盛岡)を制した他、中央2勝を挙げた初仔オグリロマンスの仔クィーンロマンスが新春盃(名古屋)、スプリント(笠松)を制すなど活躍馬を送り出してファミリーを広げている。

 「残念ながら、今年は不受胎でした。爪が弱いのが気になるくらいで、肉体的にも気持ちの部分でも、まだまだ若々しいですよ」と語ってくれたのは稲葉牧場の稲葉裕治さん。案内して頂いた放牧地では娘のオグリロマンス、チジョウノテンシ(娘)とオグリキャップ産駒のオグリエンゼル、オグリクェスチョン(半姉オグリホワイトの仔)とともに放牧されていた。すべての馬にホワイトナルビーの血が入っている。このほか、稲葉牧場には同じ血を引くクィーンロマンスやオグリシャダイ、サンマルミッシェルもいる。

 昨年7月3日に亡くなったオグリキャップのお別れ会の弔辞で『私は、あなた(=オグリキャップ)の築いた血統を絶やすことなく守り続けていくことを約束します』と語っていた稲葉さん。このファミリーに対する強い思いが、この繁殖ラインナップに表れている。

 「オグリローマンも20歳になりましたが、放牧地の中ではボス的存在です。面白いのは、ローマンと一緒の放牧地になると、直仔である娘達(オグリロマンスやチジョウノテンシ)が、他の馬に対して威張り始めるんですよ。母の威光を盾にしてるんでしょうか」と笑いながら語ってくれた稲葉さん。「オグリローマンを始めとするホワイトナルビーの一族は、自分が期待したとおりに活躍馬を送り出してくれました。自分の生涯をこの一族に賭けて行きたいですね。先日行われたオグリキャップ銅像除幕式でも、遠路はるばる多くの競馬ファンが来場してくれました。この血統の馬が競馬場で走り続けることでファンに何かを伝えられたらと思っています」と強い思いを口にしてくれた。