馬産地コラム

イーグルカフェを訪ねて~ビッグレッドF

  • 2011年06月24日
  • イーグルカフェ~1
    イーグルカフェ~1
  • イーグルカフェ~2
    イーグルカフェ~2
  • イーグルカフェ~3
    イーグルカフェ~3

 イーグルカフェは1997年生まれの米国産馬。3歳時にNHKマイルC(G1)に勝ち、5歳秋にはジャパンCダート(G1)に勝利。日本競馬史上3頭目となる芝ダート双方のG1勝馬となった。現在はビッグレッドファームで種牡馬生活を送っている。

 トップアスリート同士によるギリギリの戦いの中で、最後に命運を分かるのは「運」だという。千代の富士が持つ記録を抜き、史上2位の63連勝を記録した名横綱白鵬が「運が良かった。運は努力した人間に、神様が与えてくれるもの」という名言を残したのは印象深い。

 イーグルカフェは、常に上を目指す馬だった。外国産馬のためにクラシックには不参加だったが、NHKマイルC(G1)に優勝すると、臆することなく安田記念(G1)に出走した。その秋には敢然と天皇賞(秋)(G1)、そしてジャパンカップ(G1)に挑戦し、4歳春にはドバイデューティフリー(G1)にも挑んでいる。これら挑戦は、必ずしもよい結果ばかりを残すものではなかったが、決して無駄でもなかった。

 その経験が花開いたのは2002年11月23日。東京競馬場の改修工事によって史上初めて中山競馬場で行なわれたジャパンCダート(G1)はゴールドアリュール、アドマイヤドンという2頭の3歳馬の参戦によって盛り上がりを見せていた。前者は、ここまでダート4戦4勝。ジャパンダートダービー(G1)を7馬身差で、ダービーグランプリ(G1)を10馬身差で制しており、後者も盛岡競馬場で行なわれたJBCクラシック(G1)で古馬を相手に7馬身の差をつけるなどダートは2戦2勝。ともにクラシックの入着経験もあり、新しいタイプのダートチャンピオンとして期待される存在だった。2頭の馬連オッズは2.6倍。しかし、勝ったのはフランス帰りの5番人気イーグルカフェだった。

 夏の七夕賞(G3)に勝ち、NHKマイルC(G1)のあとの長い低迷を脱したイーグルカフェは凱旋門賞(G1)に出走するマンハッタンカフェの帯同馬としてフランスへ渡り、ドラール賞(G2、芝1950m)で3着に好走していた。強敵を求めて各地を転戦したイーグルカフェの復調は明らかだったが、マンハッタンカフェの故障によってイーグルカフェも帰国を足止めされていた。もし仮に僚馬の回復に時間がかかれば、ジャパンCダート(G1)は間に合わなかったことになる。

 「運は努力した人間に、神様が与えてくれるもの」。モンゴル出身の大横綱が搾り出した同じ言葉を、米国生まれのイーグルカフェはニッポンの競馬場で示してくれた。

 今年2歳となった2009年生まれ世代は、乞われてけい養場所を移した最初の世代。イーグルカフェを信じた人たちと、イーグルカフェ自身のためにも再びあっと言わせて欲しい。