馬産地コラム

ネイティヴハートを訪ねて~イーストスタッド

  • 2011年06月13日
  • ネイティヴハート~1
    ネイティヴハート~1
  • ネイティヴハート~2
    ネイティヴハート~2
  • 現役時さながらのキレある動きを披露
    現役時さながらのキレある動きを披露
  • 種付けの上手さはピカイチです
    種付けの上手さはピカイチです

 2006年のオーシャンS(G3)優勝馬ネイティヴハート(明和牧場生産)を訪ねた。2000年、岩手デビューから朝日杯3歳S(G1)へ挑み、勝ち馬から僅差の3着に好走。その後も地方参戦枠の顔として長きにわたり重賞戦線で活躍し、地方競馬所属馬に自信と夢を与えた。

 種牡馬ネイティヴハートの住まいは浦河町のイーストスタッド。広い放牧地へ放たれると、全身を使ったキレのある動きで駆けだした。馬体重は550kg近く。9歳までタフに走っていただけあって、13歳となった今も良い筋肉をしている。

 「カイ食いも良く、元気いっぱいです。」と、語るのは同スタッドの青木大典場長。テンションの高さはあるが、病気もせず、健康そのものだという。種牡馬としての顔については、「どこかで覚えてきたのかというぐらい種付けは上手くて、手がかかりませんね。」と、青木場長。初年度産駒は昨年、3頭誕生している。

 通算成績は52戦7勝。出走した競馬場は12を数える。3歳時にはNHKマイルC(G1)でクロフネの4着、8歳で重賞制覇後に出走した高松宮記念(G1)ではオレハマッテルゼから0.3秒差の5着に奮闘し、G1でも見せ場以上の走りを示した。7勝は全て芝で、地方競馬所属馬としては異色の経歴の持ち主だ。

 「中央馬相手に芝の重賞を勝った馬ですからね。産駒も十分芝でいけるでしょう。頭数は少ないですが、初年度産駒のデビューが今から楽しみです。」と、青木場長は話す。祖母は凱旋門賞馬サンサン。底力のある母系もウリの一つだ。

 話の終わりに青木場長は訪問者の多さを強調した。「支えてきたオーナーさん、調教師さんが今も熱心に会いに来られます。遠方からファンの方も見学に来られますし、大勢の方から愛されている馬なのだなと感じます。」

 G1馬があまたひしめく“同業者”にまじって、ネイティヴハートの存在は小さなものかもしれないが、種牡馬としての第一歩にエールを送る人々は多い。岩手デビューの先輩種牡馬メイセイオペラに続き、産駒の快走でその名を再びアピールできる日を心待ちにしたい。