馬産地コラム

シルクジャスティスを訪ねて~畠山牧場

  • 2011年05月19日
  • シルクジャスティス~1
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  • シルクジャスティス~3
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  • シルクジャスティス~4
    シルクジャスティス~4

1997年の有馬記念(G1)を優勝したシルクジャスティス(牡17歳、父ブライアンズタイム 母ユーワメルド)を新ひだか町の畠山牧場に訪ねた。

本馬は1996年10月のデビュー、初勝利は7戦目と時間を要したが、続く毎日杯(G3)では3着と好走、若草ステークス、京都4歳特別(G3)と連勝し、日本ダービー(G1)へと駒を進めたが追い込み届かず2着に敗れた。ちなみに、この年の牡馬クラシックはブライアンズタイム産駒が大活躍、皐月賞(G1)がサニーブライアン・シルクライトニングのワンツー、日本ダービー(G1)がサニーブライアン・シルクジャスティスのワンツーという結果だった。

古馬相手の京都大賞典(G2)を優勝し、菊花賞(G1)では1番人気に推されたが0.4秒差の5着、ジャパンカップ(G1)でも0.4秒差の5着と惜敗が続いたが、有馬記念(G1)では古馬のマーベラスサンデー、エアグルーヴとの三つ巴の叩き合いを制し、待望のG1初制覇を果たした。競走成績27戦5勝。

2001年シーズンより種牡馬入りした本馬は初年度73頭の繁殖を集めたが、残念ながら産駒の活躍に恵まれず種付け頭数は減少、2006年に優駿スタリオンステーションを退厩し、畠山牧場に移動した。頭数は多く無いものの種牡馬生活を続けていた本馬だったが、昨シーズンで種牡馬を引退、現在はBTC「引退名馬けい養展示事業」の功労馬として余生を過ごしている。

「昨年の猛暑が堪えて少し体が寂しくなりましたが元気にしていますよ。性格も穏やかで手がかかりませんね。今でも毎年多くのファンが会いに来てくれて、この馬の人気の高さには驚いています。」と語ってくれたのは畠山牧場代表の畠山重博さん。現在、本馬は早朝から夕方まで放牧され悠々自適な生活を送っている。青葉の季節を迎え自由気侭に放牧地で草を食んでいる。

昨年末には、産駒のバシケーン(牡6歳)が中山大障害(JG1)を優勝、産駒のJRA重賞初制覇を果たしただけでなく、「JRA賞最優秀障害馬」にも選ばれた。「テレビで観戦していましたが、(タマモグレアーとの接戦を制した)ゴール前では思わず声が出ましたよ。種牡馬登録を抹消してしまった後ですが、活躍馬の登場は嬉しいですね」と畠山さん。

自身が制した有馬記念(G1)と並ぶ“暮れの風物詩”を制した孝行息子の登場には本馬もきっと喜んでいることだろう。残された現役産駒は少ないが、その活躍に期待したい。