メイショウドトウを訪ねて~イーストスタッド
浦河町のイーストスタッドに繋養されている2001年の宝塚記念馬、メイショウドトウを訪ねた。
メイショウドトウは愛国産。父はクイーンエリザベス二世S(英・G1)などG14勝を挙げたBigstoneで、日本では数少ない産駒の1頭となる。デビューは3歳1月の京都競馬場。初戦は2着と惜敗したが、2戦目で初勝利を果たすと堅実に自己条件を勝ち上がり、その年の末にはオープン入り。古馬になると重賞路線を進み、緒戦となった日経新春杯(G2)では2着。続く中京記念(G3)をレースレコードで制し、重賞初勝利を飾った。まさに怒濤の勢いで重賞レースの主役に躍り出た本馬が初G1に挑戦したのが2000年の宝塚記念(G1)。ここで初めて同期のライバル・テイエムオペラオーと顔を合わせ、クビ差の2着に敗れる。以後2頭は熾烈な争いを繰り広げて行くことになる。
出走したG1でことごとくテイエムオペラオーの後塵を拝したメイショウドトウ。その雪辱を果たしたのは初対決から1年後の宝塚記念(G1)だった。持ち味のロングスパートを生かし猛追するライバルを1 1/4馬身突き放し快勝。G1出走6戦目にして初のビックタイトルを手にした。
テイエムオペラオーとメイショウドトウ。後世に語り継がれるであろう宿命のライバルだった2頭の引退式は合同で行われ、引退後も共にイーストスタッドで繋養された。現在テイエムオペラオーは新ひだか町のレックススタッドで繋養されており離れてしまったが、スタッドイン当初は向かい合わせの放牧地に放たれていた。当時の2頭は「お互い意識したりするのでは」という人間の感傷をよそに、それぞれマイペースで我関せずだったそうだ。
「種付けは好きだしちゃんとこなすけど、本当におとなしい馬で放牧地でもほとんど動かないよ。動きのある写真は撮れないんじゃないかな」と同スタッドの青木大典場長から心配の声が上がるほどおっとり、のんびりした性格だという。
手入れを終えて放牧地へ放たれると、メイショウドトウは予想を裏切り素晴らしい走りを披露した。残雪を蹴散らしながら力強いフォームで駆ける姿に「こんなに本気で走るの初めて見た!」と周りにいたスタッフも目を丸くする激走だった。
あの日、宝塚記念(G1)という舞台で魅せた走りを、私たちの前でもう一度魅せてくれたのかも知れない。