馬産地コラム

ワイルドラッシュを訪ねて~アロースタッド

  • 2011年03月25日
  • ワイルドラッシュ~1
    ワイルドラッシュ~1
  • ワイルドラッシュを訪ねて~2
    ワイルドラッシュを訪ねて~2
  • 580kgの雄大な体をしている
    580kgの雄大な体をしている
  • 種牡馬展示会での様子
    種牡馬展示会での様子

 アロースタッドで種牡馬生活を送るワイルドラッシュ(USA)を訪ねた。国内産駒の大将格トランセンドは、この春ドバイワールドカップ(G1)へ挑戦する。アメリカからやってきた父の名は、今、日本産馬から世界発信の時を待っている。

 アロースタッド副主任の松木優さんにお話を伺うと、「健康状態は良好です。食欲も十分で、馬体重は580kgあります。今年17歳ですが、馬体は全く衰えを感じさせません。」と、近況を伝えてくれた。間近で見ると、種牡馬特有の威圧感が伝わってくる。馬体は丸みを帯び、毛ヅヤは冴えてピカピカだ。息をのむ雄大さは底知れぬパワーを誇示する。

 現役時代はアメリカで16戦8勝。G1を2勝し、イリノイダービー(G2)ではダート9Fのコースレコードをマークした。1999年にアメリカで種牡馬入り後、外国産馬として日本デビューした産駒パーソナルラッシュがダービーグランプリ(G1)、エルムS(G3)などを制し、父の存在を日本にアピールするや、ホームの地・アメリカでも産駒がG1を制した。2004年より日本に導入され、熱いラブコールに沸く馬産地に応えている。

 日本での交配頭数は導入初年度から4年連続で100頭超えを記録し、日高管内屈指の人気を示した。その後、交配頭数はやや減少したものの、昨年は99頭と盛り返し、昨今の産駒G1勝ちでV字回復へ追い風が吹く。受胎率は良く、繁忙期は1日3回をこなす。

 産駒は現在、ダート界のトップクラスに立つトランセンドを筆頭に、エルムS(G3)の勝ち馬クリールパッション、愛知の強豪ヒシウォーシイなど、ダート重賞の常連が名を連ねる。松木さんは、「産駒実績が示す通り、ダートでの強さがこの馬の最大の長所です。やはりその点を意識して交配されるケースが多いようです。」と、分析する。

 今一度産駒リストを眺めると、トニービン、サンデーサイレンス系種牡馬、ミスタープロスペクター系種牡馬との掛け合わせが多数の活躍馬を生んでいる。国内トレンド種牡馬との見事なマッチングは、更なる繁栄へ盤石の態勢を整える。また、アンペア、クラーベセクレタ、ブラウンワイルドといった2歳重賞を制す馬も続々と現れ、仕上がりの早さもその魅力を高めている。

 「海外でも非常に高い評価をされていた馬ですから、日本でも結果を出せてほっとしています。トランセンドの勢いでまた新たなG1馬を出していきたいです。」と、松木さん。アメリカ仕込みの力強さにかける期待は一層膨らんでいる。第二の故郷、日本はきっと彼の力を生かしてくれる。