フサイチコンコルドを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション
新馬、すみれS、そして日本ダービー(G1)。フサイチコンコルドが歩んだ道のりは、奇跡という以外に表現のしようがない。レースを使い込めない事情があったにせよ、一切の無駄を排除し、そして頂点にまでのぼりつめた。生涯5戦。その名前のとおりに強烈な印象だけを残してフサイチコンコルドの現役生活はあっという間に過ぎ去った。
「三戦目、三連勝でダービー制覇できるような馬はこの先もう現れないだろうし歴史に名を残す名種牡馬になって欲しいです」というのは、現在フサイチコンコルドが種牡馬生活を送るブリーダーズスタリオンステーションの坂本教文主任だ。代表産駒のブルーコンコルドはマイルチャンピオンシップ南部杯3連覇などG1(Jpn1含む)レース7勝をあげ、バランスオブゲームはG2レースの最多勝(6勝)を記録。2010年シーズンもカネマサコンコルドが北海道2歳優駿(Jpn3)に優勝したほか、兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)で2着と活躍している。
「産駒は堅実に走ってくれるイメージがあって、生産者の方からの評判も上々です。最近はジョーカプチーノの母の父として頑張ってくれていますし、ディープインパクト産駒のナリタキングロードも強い内容で新馬戦を勝ってくれました」と多様な活躍に満足そうだ。
「もう18歳です。でも馬体に衰えがないから、年齢を忘れちゃいますよ」と言い「でも、最近は放牧地で寝ていることが多くなってきましたね。見学者がいても寝っぱなしなんですよ。見学者のウケはよいのですけど、リラックスしすぎです」と笑った。
放牧地では、いつも頭絡を外してもらっているせいか、本当にリラックスしているように見える。真偽のほどは馬に聞いてみないとわからないが、蹄鉄をはずし、頭絡をはずすと馬は心身ともにリラックスするらしい。だからというわけではないが、ゆったりとした歩様。体全体からは名血だけが持つオーラを漂わせている。まったくの私見だが、この馬の横姿、ウォーキングの様子は現役種牡馬の中でもダントツに美しいと思う。命あるもの、いつまでもというわけにはいかないだろうが、1年でも長く、その姿を楽しませて欲しいと思う。そして、願わくはフサイチコンコルドの産駒らしい美しい馬体と、ビックリするような成績を残してくれるような産駒を競馬場に送り出して欲しいと思う。