馬産地コラム

アルーリングアクトを訪ねて~白老ファーム

  • 2011年02月21日
  • アルーリングアクト~1
    アルーリングアクト~1
  • アルーリングアクト~2
    アルーリングアクト~2
  • アルーリングアクト~3
    アルーリングアクト~3

 母となったアルーリングアクトがいつも取る行動。それは産駒の誕生後にはっきりと現れる。「普段はそうでもないのに、子供を産み終えるとちゃかちゃかしだすんですよ。でも、最近では、大分おとなしくなってきました」(白老ファーム・石垣節雄繁殖主任)

 「アルーリング」との名前に、競馬ファンがまず想像するのは「小倉巧者」の四文字。小倉2歳S(G3)では、娘のアルーリングボイスと母娘2代制覇。エンドスウィープの持ち込み馬らしく、そのスピードと仕上がりの良さを競走成績だけでなく、繁殖牝馬としても証明した。

 「アルーリングボイスと親子2代で小倉2歳S(G3)を制したことで、早熟との印象ももたれがちですが、ボイスは古馬となってからも重賞で好走を見せていましたし、この血を引く馬たちも近年では早熟の傾向は薄れてきていると思いますね」(石垣さん)

 ただ、アルーリングアクトの血を受け継ぐ牝馬に確実に遺伝されているのは、卓越したスピード能力。特にアルーリングアクトの産駒にはそれが顕著に表れており、初仔のアルーリングボイスから、ディープインパクトを父に持つアルティシムス(牡3)まで、全てが中央競馬で1勝をあげている。

 「素晴らしい繁殖牝馬だと思います。現在、白老ファームで繋養されている繁殖牝馬でも、未勝利馬がいないのはアルーリングアクトとオリエンタルアート(ドリームジャーニーの母)だけですね」(石垣さん)。まさに牧場の宝となっているアルーリングアクトは、現在、ネオユニヴァースの産駒を受胎。初年度産駒からクラシックウィナーを送り出したネオユニヴァースだけに、産まれてくる産駒にはクラシック級の活躍も期待できそうだが、それでも石垣さんは、「でも、堅実に走るという母の長所も出てくれるはずですよ」と笑顔を絶やさない。

 牧場に来た頃はやんちゃだったという性格も、14歳という年齢となってかなり丸くなってきた。放牧地では他の馬を寄せ付けない一匹狼な面もあるというが、生まれてすぐの変貌にも現れているように、子供は大事にする馬。勝手な想像ではあるが、この時期、アルーリングアクトから子供たちに対して、「競馬場に行ったら、必ず一回は他の馬より先にゴールしなさい!」との教えを受けているのでは、という気もしないでもない。