馬産地コラム

フラワーパークを訪ねて~白老ファーム

  • 2011年02月14日
  • フラワーパーク~1
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    フラワーパーク~2
  • フラワーパーク~3
    フラワーパーク~3

 96年の高松宮杯(G1)を、デビューから僅か7か月で優勝した天才少女フラワーパークも今年で19歳。白老ファームで繋養されている繁殖牝馬の中でも、年齢、キャリア共に「ベテラン繁殖牝馬」と言われる存在となった。「ここに来た頃から印象が変わりませんね。放牧地ではどこにいてもすぐに『フラワーパークだ』と分かるほどです」

 そう話した石垣節雄繁殖主任は、放牧地のフラワーパークに声をかける。スタッフに連れられてきたフラワーパークも、自分のことを呼ばれたと気づいたのか、顔を石垣さんの方へと向けた。「いつの間にか結構な年齢になったんですよねえ」 と石垣さん。確かに天才少女だった頃の姿を知るものには、すっかりお母さんらしくなった姿に、どこか安堵感すら覚えてしまう。

 現役時の鮮烈な印象から比べると、繁殖牝馬となってからは、どこか存在が薄らいでしまったような印象を受けるのは、自身を彷彿とさせるような産駒を送り出していないこともある。「これだけの競争成績を残している馬ですし、やはり産駒がまだ走ってくれればと思うのですが…」(石垣さん)

 確かにこれまでの産駒実績を見ると、5勝をあげているフィレンツェが目立つ程度。だが、死産や不受胎など、不運が続いていたことも考慮しなくてはいけない気がする。

 だが、5番仔となるクリアンサス(牝3)は、オーストラリアのリーディングサイアーRedoute's Choiceを父に持ち、母フラワーパークの持ち味でもあったスピード能力を全面に押し出す配合馬となった。牧場でも産まれた頃から「フラワーパークの最高傑作」としての評価を集め、阪神JF(G1)にも出走。先日行われた500万下の春菜賞で2勝目をあげ、今後の活躍も期待される。

 「クリアンサスが最も母が出ている印象がありますね。2歳時から勝ち上がってくれましたが、母が未勝利を勝ち上がったのも3歳秋のことでしたし、本格化するのは古馬になってからとなるのではないのでしょうか」(石垣さん)

 フラワーパーク自身は白老ファームに来た頃からおとなしく、頭のいい馬とのことで、手のかかった思い出はまるでないという。集団の中でも目立った様子を見せることもなく、いばらなくてどの牝馬とも仲がいいらしい。現在、フラワーパークはゼンノロブロイを受胎。白老ファームの生産馬であり、種牡馬としても優秀な成績を残しているゼンノロブロイではあるが、意外なことにフラワーパークとの配合は初めて。「白老F配合馬」でどんな産駒が誕生するのかも気になるところだが、その前にクリアンサスを初めとする現役馬たちに、母を彷彿とさせるような活躍を期待しよう。