テイエムチュラサンを訪ねて~テイエム牧場
2005年のアイビスサマーダッシュ(G3)、51kgの軽ハンデを活かして逃げ切り勝ちを決めたテイエムチュラサン(牝9歳、父タイキシャトル 母フルフリングス)をテイエム牧場(鹿児島県垂水市)に訪ねた。
本馬は2004年の7月デビュー、小倉で行われた九州産馬限定の新馬戦を勝利、一般馬相手のフェニックス賞(OP)では10着と大敗したが、九州産馬限定のひまわり賞(OP)では1番人気に応えて優勝した。3歳時には桜花賞(G1)にも参戦し16着と大敗したが、続く橘ステークス(OP)は2着、中日スポーツ賞ファルコンステークス(G3)は5着と健闘し短距離での適正を示し、アイビスサマーダッシュ(G3)では前年の同レース覇者でスプリンターズステークス(G1)の優勝馬カルストンライトオを抑えての逃げ切り勝ちを決めた。この勝利は(九州の)テイエム牧場生産馬にとって初の重賞勝利となった。
テイエム牧場は、G1を7勝したテイエムオペラオーや、桜花賞馬テイエムオーシャンの馬主としてファンにもお馴染みの竹園正繼氏が1999年に始めた生産牧場だ。本業の建築業のノウハウを活かして垂水市の海岸沿いの山を削り、生産牧場を拓いた。せり市場でも活発な購買を続ける竹園氏であるが、現在、生産者としてテイエム牧場、(昨年出来た)新テイエム牧場、テイエム牧場日高支場、テイエム牧場門別育成場の4つの牧場を営んでいる。
現在は新テイエム牧場で暮らしている本馬の近況については「馬同士の間では気が弱いのですが、人に対しては気が強い方ですよ」とテイエム牧場のスタッフ。本馬の馬名の由来は「冠名+美しい人(沖縄の方言)」との事だが、美しい栗毛は父のタイキシャトルを彷彿させる。「タイキシャトルに似ていると言う人が多いのですが、私はずっと九州なので実はタイキシャトルは見たことが無いんですよ」と苦笑する。2009年に初年度産駒となる牝馬(父テイエムオペラオー)を出産、2010年は牡馬(父テイエムサンデー)を出産し、現在はテイエムオペラオーを受胎している。
テイエム牧場、新テイエム牧場は共に高台にあり、晴れた日には素晴らしい景観が拝めるという。残念ながら取材日には拝むことが出来なかったが、海の向こうに開聞岳や桜島が拝めるそうだ。そんな景色をバックに、放牧地に佇む金色に輝く本馬…さぞ「ちゅらさん(美しい馬)」な事だろう。
テイエム牧場では牧場見学は行っていないが、麓には「テイエム牧場温泉」があり、一般の方の利用も可能となっている(入浴料金大人330円)。こちらの温泉は日本有数の析出量を誇る炭酸水素塩泉で、ぬるめのお湯(源泉41.8℃)ながらポカポカと温かさが持続し、地元のお客さんを中心に好評という(飲用には適さないとの事)。源泉はパイプで分岐され、テイエム牧場で馬を洗ったりするのにも使われているそうだ。。◆テイエム牧場公式サイト