ブラックタキシードを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション
2010年7月。1年ぶりにブラックタキシードが日高町のブリーダーズスタリオンステーションに帰ってきた。「14歳のワンシーズンでしたけど、なんだか大人になって帰ってきたような気がします。」と、同スタリオンの坂本教文主任が感心したように現況を説明してくれた。以前は気持ちが前向きすぎるあまりにイラっとしたようなところがあったらしいが、戻ってきてからは落ち着いた雰囲気を醸し出しているらしい。放牧地を走りまわったり、立ち上がるようなクセも影を潜め、扱いやすくなったという。
「移動には慣れている馬ですし、頭の悪い馬ではないので、ここが初めての場所だと勘違いしてネコを被っているわけではないと思いますよ」と周囲を笑わせてくれた。
ブラックタキシードは2005年NARファーストシーズンサイアーチャンピオン。そして2006年にはNAR2歳サイアーランキングで2位になった。
「産駒が地方競馬で活躍しているので、地方競馬の関係者、馬主さんからの人気ナンバーワンですね。2010年シーズンも南関東のヤサカファインが東京盃(Jpn2)でサマーウインドの2着になりました。やっぱり走ってくれますね」と、ほっとしたように同馬を褒めた。まだJRAでの重賞勝馬には恵まれていないが、地方競馬では2006年から5年連続で重賞V。地方競馬の関係者に人気が高いのもうなずける。
「あ!それから外国から来られる方にも人気です。これは、本馬が南半球へのシャトル経験があるということもあるのでしょうが、母の父にストームキャットが入るサンデーサイレンス産駒という意味合いが大きいのだと思います」と胸を張った。ただし、本馬を見た外国人競馬関係者は、現役時代の面影を残すシャープな青毛の馬体をみて、外交辞令抜きに褒めてくれるという。
「馬の気持ちはまだ若いままですが、年齢的にもそろそろ大きなタイトルを取らせてあげたいですね。そういう意味で2011年シーズンには期待しています」と坂本主任が言うように、2010年の2歳世代は好調だ。サンライズCに勝ち、北海道2歳優駿(Jpn3)で1番人気になったエルヘイローはじめ20頭以上の2歳馬が勝ちあがった。20頭以上の2歳勝馬を出したのは2006年以来4年ぶりのこと。2011年シーズンはブラックタキシード産駒に注目して欲しい。