馬産地コラム

ハギノハイグレイドを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2010年12月27日
  • ハギノハイグレイド~1
    ハギノハイグレイド~1
  • ハギノハイグレイド~2
    ハギノハイグレイド~2
  • ハギノハイグレイド~3
    ハギノハイグレイド~3

 「やっぱりコマンダーインチーフの仔ということで、思い入れがあります。産駒は多くないですけど、活躍して欲しいと願っています」と優駿スタリオンステーションの山崎努主任がちょっと照れながら、きっぱりと言い切った。その初年度産駒マツノハイグレイドは地方競馬で勝ちあがり、2年目産駒ハギノクレバーは11月20日のJRA2歳新馬戦で5着となった。ちょっとだけだが、光明が見えてきたような気もする。

 現役時代から500キロを超した馬体は、5年間の種牡馬生活でさらに貫禄を増したが、無駄肉が付いているようには見えない。確実に伸びる末脚を武器に、2001年の東海S(G2)で初重賞勝ち。そのとき記録したレコードタイムは、翌年自分自身が塗り替えた。いわゆるG1、Jpn1勝ちはないが、オーナーの愛情によって種牡馬として暮らしている。そんな幸せを実感するかのように、広い放牧地を与えられたハギノハイグレイドは、思う存分に歩き回っている。取材者を見つけてもあまり興味を示さず、自由気ままだ。そして、おもむろにゴロンと横になった。

 「マイペースっていうんですか。コマンダーインチーフは激しい馬でしたが、この馬はおとなしく、扱いやすい馬ですよ。でも、種付けのときだけは迫力あります」と山崎さん。数が少ないから当たり前かな、と前置きしながらも、頼もしそうだ。

 かつて、この優駿スタリオンステーションには1歳年下で、同じようにダートの長距離を得意としたカネツフルーヴとレギュラーメンバーが仲良くけい養されていた。しかし、レギュラーメンバーは2009年に青森に移動し、2010年の種付けを最後にカネツフルーヴも他地区へと移動した。「レギュラーメンバーはコマンダーインチーフの仔でしたし、イメージが重なるのでどれを配合しようか迷っていた生産者もいました」というから、多少の追い風が吹き始めたようだ。

 「決して恵まれた環境ではないですが、この馬が勝てなかったG1レースを産駒で勝てたら最高です。オーナーが良質な繁殖牝馬を用意してくれているので、期待に応えて欲しい」と希望をつなげている。