馬産地コラム

ソングオブウインドを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2010年12月19日
  • ソングオブウインド~1
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  • ソングオブウインド~3
    ソングオブウインド~3

 12月10日現在で、ファーストシーズンサイアーランキングでNAR部門第3位、総合で第6位。「同じ年にスタッドインしたオンファイアとは良い意味でのライバル関係だと思いますが、どちらも好スタートを切れたと思っています」と優駿スタリオンステーションの山崎努主任がほっとしたような表情で初年度産駒の活躍をふりかえった。

 「決して早熟タイプではないと思うのですが、芝、ダート双方で早い時期から活躍馬を出したことは、この馬の将来にとって嬉しいことだと思います。勝ち上がった産駒も逃げタイプもいれば、追い込み馬もいます。この馬自身、とても賢い馬なので、そんな性格が遺伝しているのかもしれません。いろいろなタイプがいるということは、楽しみが広がります」と笑顔をみせた。

 現役時代のソングオブウインドは、その名前の通りに一瞬のつむじ風だった。メイショウサムソンの三冠制覇が期待された2006年の菊花賞(G1)。勢いよく3~4角の坂をくだったソングオブウインドは、そのまま京都競馬場の直線を、あがり3ハロン33秒5の豪脚で駆け抜けた。逃げ込みを図るアドマイヤメイン。三冠を目指すメイショウサムソン、ダービー(G1)の雪辱を期すドリームパスポートの争いにピリオドを打ったのがソングオブウインド。走破時計の3分2秒7は67回の歴史を持つ菊花賞(G1)のレコードタイムだった。

 「普段はおとなしい馬なんですよ。放牧地でもほとんど走りまわることはないです」というのは意外だったが、その言葉通りに静かに草を噛んでいる。隣の放牧地でファスリエフやキングヘイローが走り回ろうと、隣の牧場で育成馬は乗り運動をはじめても、どこ吹く風。のんびりとマイペースを決め込んでいる。

 「食欲は旺盛ですよ。少しでも美味しそうな草を探して歩きまわるくらいで、あまり動じない馬です。この馬が走るとすれば、変わったものを見たときか、虫を嫌がっているときくらいですね。だから、夏の暑い時期は結構動き回っていますよ」と担当者。

 この春は54頭の繁殖牝馬への種付けを終えたが、それはこの馬にとっては楽なものだったという。「だから、シーズンまでに少しダイエットが必要かもしれません。産駒が活躍してくれているので、来年は忙しいシーズンになると良いですね」とスタッフ全員が楽しみにしている。