ウインクリューガーを訪ねて~日高スタリオンステーション
歴史と伝統を誇る浦河町の日高スタリオンステーション。その放牧地でウインクリューガーがたたずんでいた。2009年の秋に怪我した左の後脚はまだ痛々しさを残すが「確実に良化しています。2010年シーズンの種付けも出来ましたし、もう心配はいらないと思います(担当者)」というから心配はご無用のようだ。
「なかなかたいした気性だよ」と三好正義場長がいう。父タイキシャトル譲りの気性は「まるでライオンのようだ」と言われるほどに荒々しい。脚を傷めて思うような運動が出来ないことも馬をイラ立たせる原因のひとつなのかもしれない。それでも、聡明そうな目を見ていると吸い込まれそうになる。さすがはディープインパクトファミリーだ。名馬だけが持っているオーラのようなものをこの馬も持っている。
デビューは2歳秋。初戦を鮮やかに勝ちあがると、のちに2歳チャンピオンになるエイシンチャンプや2冠馬ネオユニヴァースらと好勝負を演じながら力をつけ、アーリントンC(G3)に優勝。父のタイキシャトルにとって初の重賞ウイナーとなり、その後のNHKマイルC(G1)でG1サイアーの称号を父に贈った。その後のスランプで印象はよくないが、早熟性やスピード能力は世代屈指のものがあった。
「今年は6頭に種付けました。怪我をしていたということに加えて、3年目シーズンだから、ある程度は仕方ないと思うけどもう少し種付けしてあげたかったというのが本音だね。だから、馬も元気を余してしまった」と冗談交じりにシーズンをふりかえった。
「それでも、ファンというのはありがたい。クラブ法人のG1ウイナーということもあるのでしょうが、今年もこの馬目当ての人が何人も足を運んでくれましたよ」とちょっとばかり誇らしげになった。
注目の初年度産駒は来年デビュー予定だ。「何頭か産駒を見たけど、アカ抜けた馬が多いと思う。タイキシャトルよりは距離に融通性もありそうだし、応援してくれるファンのためにも、何とか結果を出して欲しいね」と期待されている。