デルタブルースを訪ねて~ノーザンホースパーク
北海道最大の乗馬施設と言っても過言ではない苫小牧市のノーザンホースパーク。ここにいる馬たちの名前を見ていると、まるでスタリオンにいるかのような錯覚を覚える。高齢のダイナガリバーは別格としても、インティライミ、ツルマルボーイ、トウカイポイント、ウインデュエル。その中でもやはり異彩を放っているのが第65回菊花賞優勝馬デルタブルースだ。
2004年には菊花賞(G1)に優勝。この勝利は1996年に優勝している父ダンスインザダークとの父仔制覇という意味でも話題になった。また、2006年には豪州競馬の祭典メルボルンC(G1)で日本産、日本調教馬として初めて優勝した。JRA賞最優秀父内国産馬、豪州最優秀長距離馬。デルタブルースを飾る言葉は豪勢だ。
「2009年の6月に競走登録を抹消され、去勢手術ののちに、ここに来ました。去勢したにも関わらず、当初はなかなか落ち着いてくれませんでした。そのため、約1年は気性が穏やかになるのを待ちました」と乗馬スタッフが教えてくれた。
その後、やや落ち着きを見せたデルタブルースは乗用馬としての調教をスタートさせたのだが、そんな状態でもなかなかの素質を垣間みせたというから、さすがは国内外のチャンピオンホースといったところだろうか。「他の馬と飛越するときの力が違うんです。しっかりと飛ぶんです」と驚かせている。その言葉どおりに2010年9月のデビュー戦は、戸惑いながらもノーミスで8位。さらには10月9日にJRA馬事公苑で行なわれたホーストライアル競技、総合馬術クロスカントリー競技で堂々の3位となった。
「初めての長距離輸送で少し心配しましたが、まったく動じるところはありませんでした。考えてみれば、オーストラリアまで輸送して勝っている馬ですものね」と笑った。現在、同ホースパークの“エース”はトウカイポイントなのだが、将来は挑戦状を叩きつける立場になるかもしれない。
競走馬と異なり、馬術競技では12~3歳頃から力をつけていく馬が多い。年が明けてもまだ10歳というデルタブルースは、まだまだこれからの馬なのだ。
「ファンの多い馬ですし、競技会でも否応なく注目される存在です。大きなタイトルを取らせてあげたいと思いますし、それができる馬だと思っています」と期待されている。