馬産地コラム

キングヘイローを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2010年12月13日
  • キングヘイロー~1
    キングヘイロー~1
  • キングヘイロー~2
    キングヘイロー~2
  • キングヘイロー~3
    キングヘイロー~3

 整然と並べられている優駿スタリオンステーションの放牧地。その中心部分にキングヘイローがいる。若さを前面に押し出しているアドマイヤオーラや、いつもカッカしているように見えるファスリエフらが隣で走り回っても、平然と草を噛んでいる。15歳。ずいぶんと落ち着きを身につけたようにも見えるが、その存在感は名馬がひしめくスタリオンでも他を圧している。

 「種付けの頭数とか、気性とか、馬同士の相性とか、そんなものを考慮しながら放牧地の場所を決めているのですが、なんかキングヘイローは今の場所が好きみたいですね」と同スタリオンの山崎努主任が話してくれた。以前、取材したときは厩舎に近い側の奥だったが、その時はいつもイライラしていたような気がする。15歳。来年は11度目のシーズンを迎えることになる。

 「まだ老け込む年齢ではありませんが、若いときに比べたら貫禄みたいなものを身につけたような気がします」という。代表産駒のローレルゲレイロがスタッドインを果たして来年は父仔競演が現実のものとなり、いつのまにか、同スタリオンでは年長者になった。

 「もともと気性の強い所がある馬ですから、種付けの時なんかはそんな面を覗かせます。今はシーズンオフということもあってのんびりと過ごしているようです」という。放牧地ではなかなかクビをあげてくれないキングヘイローにカメラマンが困った顔をしている。アドマイヤオーラやカネヒキリの挑発をまったく相手にしないようで、のんびりと草を噛んでいる。

 「ローレルゲレイロは父仔2代の高松宮記念優勝で話題になりましたが、欲をいえばカワカミプリンセスのようなタイプの牡馬も出てきて欲しいですね。キングヘイロー自身は皐月賞(G1)で2着になったり、引退レースの有馬記念(G1)でも4着しているように、決して純然たるスプリンターではなかったと思いますから」と期待している。

 キングヘイローは、その名の通りに“キング”だった。若い名種牡馬候補たちににらみを利かせながら、そして無言のまま自身を強烈にアピールしている。ちょっとばかり幅広い額はキングヘイローのトレードマークのようなもので、逞しい胸前の筋肉、ボリューム感のある馬体は以前のままだ。

 「オンファイアやカネヒキリなど若い種牡馬が増えましてが、まだまだスタリオンの看板種牡馬として頑張ってもらわないといけませんからね。応援してください」とエールが送られている。