馬産地コラム

ステイゴールドを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション

  • 2010年12月11日
  • ステイゴールド~1
    ステイゴールド~1
  • ステイゴールド~2
    ステイゴールド~2
  • ステイゴールド~3
    ステイゴールド~3

 取材者、とくにカメラマンにとってはありがたい馬だ。話題に事欠くことないし、放牧地ではいつも歩き回ってくれている。この日もそうだった。決して大柄ではないが、ぜい肉のつきにくい引き締まった体で放牧地を闊歩する。イラっとしているかのように目を輝かせているから、写真を撮ってもサマになる。そういえば、気性の激しい若い種牡馬がスタリオンの仲間入りを果たしたとき、ステイゴールドのひと睨みでおとなしくなったというエピソードを思い出した。

 「北海道馬産地見学ツアー」にご参加された方はご存知だろう。昨年は「牧柵の側には“絶対に”近づかないでください」といわれ、今年は馬房での見学となった。事務局の方からは「ファンの多い馬だということは分かっているのですが、展示しないのは、しないなりの理由があるんです」と冗談交じりの説明があった。

 つまり、そういう馬だ。

 「産駒成績に関しては何も注文することはありません」と坂本教文主任も胸を張る。G1レース2着4回を含め、重賞競走は4勝2着7回3着7回。シルバーコレクターとも、ブロンズコレクターとも言われたが、ドバイシーマクラシック(G2)ではファンタスティックライトを破り、引退レースとなった香港ヴァーズ(G1)ではエクラール陣営の顔色を失わせた。“ゴドルフィン・キラー”などを言われた現役時代を彷彿させるかのように、産駒のナカヤマフェスタは凱旋門賞(G1)で世界をアッと言わせている。その小さな体に、限りない可能性を秘めた馬なのだ。

 そんなイメージばかりを強調しようという取材者を制するように「それでも、おじのサッカーボーイがそうだったように、年齢とともに微妙にはおとなしくなっているんですけどね」と馬をかばった。

 「激しい気性も、それが産駒成績に繋がっていると思えばむしろ心強い限りです。ただ、心臓が強すぎて、治療の時の鎮静剤が効きにくいのがちょっと困りますね」とエピソードをちらり。獣医師さんは困るだろうが、投薬量まで型にはまらないのもスーパーホースらしい。そんな話をしたら、「こんな心臓だから、きっと長生きしてくれると思います。いつまでも元気でいてくれることが、この馬らしいですから」と嬉しそうだった。