馬産地コラム

スターリングローズを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2010年12月08日
  • スターリングローズ~1
    スターリングローズ~1
  • スターリングローズ~2
    スターリングローズ~2
  • スターリングローズ~3
    スターリングローズ~3

 砂に咲いた大輪の薔薇。それがスターリングローズだ。可憐な花から馬名の一部をもらったとは思えないようなたくましい馬体。骨が太く、重心が低い。現役時代から500キロを超える馬体はさらにボリュームアップしているようにも見えるが、バランスが良いのだろう。美しい印象だ。花の女王ともいわれる薔薇から名前の一部をもらうのも分かる。

 取材当日。スターリングローズは放牧地の奥の方で草を噛んでいたが、取材者を見つけるとトコトコと近づいてきた。ただ、それはいつものこと。人懐っこい馬だ。栗毛の馬体が朝日を浴びて光っている。「重心が低いからどっしりと構えているように見えて、常にアンテナを張っているような馬です。ある意味では、落ち着きのないところもあるんですよ」と優駿スタリオンステーションの山崎努主任が言っていたのを思い出した。ラチのところまで来ると、クビを伸ばして何かをねだろうとする。何も持っていないよと、両手をかざすと、思い出したかのように、再び下を向いて草を噛み始めた。落ち着きがないというよりも、注意深いともいえる。 

 「生産者の人にも人気があるんですよ。アフリート×ダンジグという血統馬ですから配合しやすいというのもあるんでしょうし、産駒もコンスタントに売れますしね」と主任からも生産者目線の意見が寄せられた。サンデーサイレンス系繁殖牝馬があふれかえる中で配合牝馬を選ばない貴重な血統であることに加えて、産駒が中央、地方問わずにコンスタントに走っていることが評価されている。

 「ちょっと勝ち味に遅いところもありますが、頑張ってくれていると思います」と言うようにエバーオンワードが今年の北海道2歳優駿(Jpn3)3着となったほかホクセツロマンが園田競馬の重賞のじぎく賞で3着、そしてクインオブターフが同じく園田プリンセスCで3着と重賞戦線で活躍している。

 「今年も53頭に配合しました。種付頭数は、本当に安定しています。大物が出てきてくれれば評価も変わるのでしょうけどね」とちょっと悔しそうだ。「それでもね、ちょっとときに見せる俊敏さなんかは、さすがG1ホースだなって思わせるところもありますよ。そんなところが伝わってくれれば嬉しいのですけどね」と力を込めた。