馬産地コラム

シーイズトウショウを訪ねて~トウショウ牧場

  • 2010年12月01日
  • シーイズトウショウ~1
    シーイズトウショウ~1

  • シーイズトウショウ~3
    シーイズトウショウ~3

 競馬は、血統があるからおもしろい。

 シーイズトウショウは生まれたとき、いや生まれる前からの期待馬だった。

 母のジェーントウショウは不敗の桜花賞馬シスタートウショウの半妹。母の父に入るトウショウフリートにはトウショウ牧場の代名詞ともいえるソシアルバターフライ3×3のクロスを持ち、母には同牧場に多くの重賞勝馬をもたらしたダンディルートの3×2のインブリードが生じた。さらに言うなら父系のテスコボーイ系は言わずもがなトウショウボーイの祖。“トウショウ”のエッセンスが凝縮された馬、それがシーイズトウショウだ。

 「牧場が活躍馬に恵まれなかった時代に、勇気を与えてくれた馬です」と志村場長がシーイズトウショウに感謝する。同馬の活躍に触発されるようにトウショウギア、トウショウナイト、スイープトウショウらへとつながっていく。「シーイズトウショウの活躍がきっかけになってくれた。そう思っています」という。

 そんなシーイズトウショウも重賞5勝、サマースプリントシリーズ初代チャンピオンの勲章とともに生まれ故郷に帰ってきた。気の強さは牧場でも1、2を争うそうで、あっさりとボスの座に居座ると、その後も先輩、後輩に対して目を光らせている。「人間には従順なんですが、他の馬には強い。最初は、そのギャップにちょっと驚きました」というが、さすがに牧場を代表するネーミングを与えられただけのことはありそうだ。

 シーイズトウショウの初仔スサーナトウショウ(牝2歳、父ロックオブジブラルタル)は10月にデビュー。1600m戦やダート戦では良いところがなかったが、母が得意とした芝1200m戦で大きな変わり身を見せて勝馬からコンマ2秒差の5着と将来へのめどをつけた。

 「2年ほど空いてしまいましたが、今年はフジキセキを受胎しています。元気な仔を産んでほしいですね」と関係者は第2仔の誕生を心待ちにしている。