馬産地コラム

サクラプレジデントを訪ねて~レックススタッド

  • 2010年11月28日
  • サクラプレジデント~1
    サクラプレジデント~1
  • サクラプレジデント~2
    サクラプレジデント~2
  • サクラプレジデント~3
    サクラプレジデント~3

 朝。手綱を解かれると、静かな放牧風景を切り裂くように重心の低い走りを披露してくれた。隣の放牧地ではマツリダゴッホがつられるようにライバル心をむき出しにする。ともに気の強さではレックススタッドでは屈指の存在だ。サンデーサイレンスの遺伝子がこんなところにも表現されている。

 偉大なる銀メダリスト。それがサクラプレジデントだ。2歳夏にデビューして、新馬、そして札幌2歳S(G3)に優勝。2歳チャンピオン決定戦の朝日杯フューチュリティS(G1)は従来のレコードタイムを更新する走りを見せたが勝馬と同タイム2着。厳寒期を充電にあてて年明け初戦に選んだスプリングS(G2)では1番人気に支持されたがネオユニヴァースの2着。皐月賞(G1)は朝日杯で敗れたエイシンチャンプを完全に振り切ったが、またもネオユニヴァースの前に敗れ去ってしまった。時計差ゼロ、わずか頭差の2着だった。

 その後、札幌記念(G2)で古馬を一蹴し、翌年の中山記念(G2)では1800m1分44秒9の驚異的なレコードタイムで快勝。通算12戦4勝2着4回。結果的に引退レースとなった天皇賞(秋)(G1)を除けば2000m以下では連対を外すことなく、サンデーサイレンスの良血牡馬にふさわしい成績を残して2005年からレックススタッドで種牡馬となっている。

 「期待が大きな分、まだちょっと物足りないところもありますが…」と事務局はいうが初年度産駒のサクラローズマリーはスイートピーS2着でオークスに駒を進め、2世代目産駒サクラエルドールは2歳新馬~百日草特別を連勝し、3世代目産駒サクラベルも2歳夏のクローバー賞で2勝目をあげるなど堅実な成績を残している。

 「初年度から4年連続で100頭以上に配合するなど種付頭数にも恵まれ、生まれた仔はせりでの評価も上々です。まだ10歳と若く、年々産駒成績が上向きなのが心強いですね。サンデーサイレンス産駒の中では屈指のスピード馬だと思いますし、ますますの活躍を期待しています」とレックススタッドの事務局では思いを強くしている。