キングカメハメハを訪ねて~社台スタリオンステーション
ハワイ王国を建立した伝説の大王、カメハメハ1世からその名を借りたキングカメハメハ。その名前の通りにニッポン競馬を席巻しつつある。
「素晴らしいという表現以外には、この馬を語れませんよね」というのは社台スタリオンステーションの徳武英介さんだ。NHKマイルC(G1)をレースレコードで、日本ダービー(G1)をコースレコードで駆け抜けた同馬は、現役引退後、日本調教馬として当時の最高価格となる総額21億円でシンジケートが組まれ、そして初年度に国内の最多種付記録となる244頭に配合。翌年にあっさりと自己記録を塗り替えると、初年度産駒の1頭は国内市場の最高価格を記録した。
そんな盛り上がるムードが産駒をデビューさせると現実のものとなる。2008年に産駒をデビューさせると、ファーストシーズンのみならずに2歳総合チャンピオンサイアーに。翌2009年にはアパパネが阪神ジュベナイルフィリーズ(Jpn1)を、ローズキングダムが朝日杯フューチュリティS(Jpn1)を制して2歳牡馬、牝馬のチャンピオンを同時に輩出。2010年シーズンには年間266頭の種付新記録を樹立し、現在は初の総合チャンピオンサイアーへ向けて驀進中だ。すべてのレコードを塗り替えながら、キングカメハメハの快進撃が続いている。
「産駒をデビューさせた頃は、距離延びて不安視されたこともありましたが、アパパネやローズキングダムの活躍で、今ではそんな声も打ち消してくれました。ダートを得意とする産駒もいますし、課題が見当たらない」とちょっと困ったような表情になった。その言葉を借りるまでもなく、すぐ後ろから追いかけてくるディープインパクトやハーツクライ、ゼンノロブロイといったサンデーサイレンス系種牡馬にとって、優秀なサンデーサイレンス牝馬を配合できるキングカメハメハは驚異的な存在だ。
普段はファンの方も一般見学できる放牧地に放されている。時折、思い出したように走りまわって訪れる人の目を楽しませてくれている。牧柵越しに行なわれる同期のライバル、ダイワメジャーとの豪華競演も楽しみのひとつだ。
「相当数の人気が予想されますので、万全の体調で来シーズンを迎えたいですね。そしてシーズンを通して休むことなく、一人でも多くの生産者の方々の期待に応えたいですね」と意欲を見せている。