アドマイヤオーラを訪ねて~優駿スタリオンステーション
新種牡馬の導入は、それぞれのスタリオンのモチベーションをあげる。それが期待の良血馬ならなおさらだ。
父アグネスタキオン、母ビワハイジ。半兄にはディープインパクト世代の菊花賞2着馬アドマイヤジャパンがいて、半妹には現役最強牝馬ブエナビスタがいる。「アドマイヤジャパンも順調に勝馬を出していますし、ブエナビスタの活躍がよいあと押しになって欲しいですね」と優駿スタリオンステーションの山崎主任がいう。
アドマイヤオーラは、血統だけがもてはやされる“未完の大器”ではない。シンザン記念(Jpn3)ではダイワスカーレット、ローレルゲレイロを子供扱いし、弥生賞(Jpn2)も完勝。皐月賞(Jpn1)では1番人気に支持され、古馬になって京都記念を完勝している。
たび重なる脚部不安により完全燃焼とはいえないが、それでも16戦4勝(重賞3勝)は胸を張れる。
8月29日の新潟記念(G3)のあと、急遽引退が決まって9月4日に同スタリオンに入厩している。「半兄のアドマイヤジャパンも気の強い馬だと聞いていますが、この馬もおとなしくはないですね。まだネコを被っているような気もしますが、単に気が強い、気が悪いというのではなく、じっと人間のしていることを観察しているような、そんな賢いところがあるような気がします」と言う。そんなアドマイヤオーラは、放牧地ではさかんに存在感をアピールしている。
入厩当初は「年も近いサムライハートとは互いに意識しあっているようです。2頭で目があうと走り回るので、放牧地を離しました」と意外なエピソードをちらり。同じノーザンファーム生産馬で、母同士は互いに切磋琢磨した仲だ。そんなことを知る由もない息子同士がライバルと認め合うのだから、血統とは不思議なものだ。
現在はベテラン種牡馬のキングヘイローにいさめられながら、来シーズンに向けての体づくりをしている。「もう脚元の心配はないようですし、試験種付けも上出来だったと聞いています。あとは万全の態勢でシーズンを迎え、この馬の柔らかさを産駒に伝えたいですね」と目標を語ってくれた。