マイネルラヴを訪ねて~ビッグレッドファーム
激しい馬だ。
馬房から出されると、担当者が懸命になだめながら放牧地へと導く。入口付近で馬のわがままをいさめると、手綱を解き放した。
新冠町にあるビッグレッドファームの放牧地は入口からなだらかな下り坂になっている。その下り坂を地響きをたてて駆け下りる。さすがスプリンターズS(G1)でタイキシャトルをとらえた豪脚の持主だ。外国産馬全盛期に朝日杯3歳S(G1)ではグラスワンダーに敗れたもののリンドシェーバーが記録したレコードタイムと同じ時計で走りぬけ、スプリンターズS(G1)ではタイキシャトル、シーキングザパールを相手に勝利した。
「15歳になりましたけど、まだまだやんちゃ。ヤンチャというかわいらしい言葉は正しくないくらいかもしれません」とスタッフが苦笑いを浮かべる。
走り出したマイネルラヴにつられるように、隣のイーグルカフェも走り出した。向かって右となりの放牧地は空いている。2つほど空けた向こうにメジロベイリーがいた。理由は聞かなかったが、なんとなく分かるような気がする。
2005年に産駒をデビューさせたマイネルラヴは、その初年度にJRA13頭、地方18頭の勝馬を出して、約2億6800万円を稼ぎ出した。これは新種牡馬としては、この年のフレンチデピュティには及ばなかったが、エンドスウィープが2003年に記録した従来の2位記録2億6350万円を超えるもの(1位はサンデーサイレンス)でマイネルラヴの種牡馬としての可能性を示している。
さすが岡田繁幸氏がキーンランドのジュライセールで発掘した馬だ。スタッドイン当時「輸入されてくるミスタープロスペクター系種牡馬と比べてヒケはとらないと思う」と言う言葉どおりに、今年もトラストワンが2歳重賞戦線をにぎわせている。
「産駒の勝ちあがり率も高く、安定した産駒成績で、生産者の方からもご好評をいただいています。2010年は多くの産駒が産声をあげており、それらがデビューする年が楽しみです。できれば、マイネルラヴの仔でG1レースを勝ちたいですね」とスタッフも馬に負けないくらいに気合を入れている。