馬産地コラム

カンパニーを訪ねて~社台スタリオンステーション

  • 2010年11月21日
  • カンパニー~1
    カンパニー~1
  • カンパニー~2
    カンパニー~2
  • カンパニー~3
    カンパニー~3

 「キャリアを重ねるごとに強さを増しましたよね。無事是名馬のイメージを変えた1頭かもしれません」と社台スタリオンステーションの徳武英介さんが言う。

 コツコツと51戦の賞金を積み上げて賞金女王になったイクノディクタス、99戦のキャリアを重ねたミスタートウジン。ちょっと前ならJRA全10場完全走破を成し遂げたヤマノシラギクや平地20勝のヤマブキオーなど。いわゆる歴戦の勇者たちに8代競走、G1勝ちの勲章はない。

 それらに比べると全35戦というカンパニーのキャリアは、少々物足りないかもしれないが、8歳までタフに走って12勝。重賞競走だけでも9勝を記録した。叩かれ、鍛え上げられた末脚は名刀の如くに切れ味を増して、2009年天皇賞(秋)(G1)ではJRA史上初となる8歳馬によるG1制覇を成し遂げ、その3週間後に自身の記録を塗り替え、重賞3連勝で引退の花道を飾った。

 そうした印象の強さも手伝って、初年度となる2010年シーズンは新種牡馬として最多の139頭の繁殖牝馬に配合を行った。

 「ミラクルアドマイヤ×ノーザンテーストという配合種牡馬もそうですが、カンパニーの血統表にはバレークイーンやクラフティワイフといったサンデーサイレンスと相性の良い名牝も名前を連ねています。そうした点も評価されたような気がします」と人気を分析している。

 一方、現役時代の同馬を管理した音無調教師は「晩成タイプではない」と証言している。3歳春にはすでにオープン馬として活躍し、3歳秋には32秒台の末脚を披露している点、そしてスピードの持続力と瞬発力を要求されえる天皇賞(秋)(G1)での内容から種牡馬としての可能性を感じさせているとアピールする。

 脚元などに大きな故障がない代わりに、夏の暑さに弱いカンパニーは、馬の体調にあわせるように大切にローテーションを守られてきた。そして“まだやれる”という声を封印するように引退の道を選んで種牡馬となった。カンパニーを大切にし、見守る人たちがいる限り、種牡馬としても大きな花を咲かせてくれるような、そんな気がする。