馬産地コラム

サンライズペガサスを訪ねて~アロースタッド

  • 2010年11月17日
  • サンライズペガサス~1
    サンライズペガサス~1
  • サンライズペガサス~2
    サンライズペガサス~2
  • サンライズペガサス~3
    サンライズペガサス~3

 いま、ちょっとばかり話題になっている種牡馬の1頭だ。

 「産駒数が少ないから、ランキングでは不利だけど、生まれた仔はすごく走っていると思うよ」とアロースタッドの本間一幸主任が胸を張った。

 3歳になった初年度産駒は、血統登録された18頭中17頭が出走し、うち11頭が勝ちあがっている。うちJRAでは14頭が出走し、6頭で8勝。ペガサスヒーローとペガサスキングビーの2頭が2勝をあげ、前者は1000万下条件で2着。現級でのめどをたてている。また、道営ホッカイドウ競馬からデビューしたコロニアルペガサスは、その後笠松競馬場に移籍し、全国の交流競走に出走。桜花賞トライアル代表馬選定競走にもなっている園田競馬場の「クイーンセレクション」に優勝するなどタフに活躍して地方競馬の「グランダムジャパン」3歳シーズンでは2位となった。

 「大きなレースを勝たないと、なかなかマスコミも取り上げてくれないけど、立派な成績だと思うよ」という。

 現役時代、いや生まれたときからいくつもの壁を乗り越えてきた馬だった。生まれて間もなく母親をなくし、体調を崩した。乳母の愛情、そして牧場スタッフの心配りで元気を取り戻し、そして競走馬デビューを果たしたサンライズペガサスを待っていたのはたび重なる怪我との戦いだった。決して長くないサラブレッドの競技人生。不治の病とも言われる屈腱炎で、1年以上にわたる休養を2度も余儀なくされたが、それを乗り越えて復活した。7歳春の産経大阪杯(G2)ではハーツクライの追撃を封じ込め、同年秋の毎日王冠(G2)ではあがり3ハロン33秒5の豪脚を繰り出して優勝。重賞の通算勝利数を「3」とした。

 アスリートが、病気や怪我を乗り越えて再び競技の場に戻ってくるのは決してたやすいことではない。もの言わぬサラブレッドあればなおさらだ。「サンデーサイレンスの仔だから、おとなしくはないけど、扱いは難しくない。マイペースな面はあるけど、賢い馬なんだろうね」とスタッフもいう。

 2歳になった2世代目産駒も早々にJRAで勝ちあがって確かな遺伝力を証明している。「オーナーはじめ、この馬を信じて、大切にしてくれている人たちのためにも頑張ってく欲しい。大きなレースを勝てる素質はあると思う」と期待されている。