馬産地コラム

ゴーカイを訪ねて~HBA門別種馬場

  • 2010年07月22日
  • ゴーカイ
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  • ゴーカイ~穏やかな気性の持ち主だ
    ゴーカイ~穏やかな気性の持ち主だ

 平成の名ジャンパー・ゴーカイ(タイヘイ牧場生産)を訪ねた。現在は日高町の日高軽種馬農協・門別種馬場で種牡馬として余生を送っている。

 昼間の放牧時間に訪れると、生い茂る青草をのんびりと食んでいた。馬体にはハリがあり、まだまだ老いを感じさせない。「病気もなく健康状態は良好です。今年17歳になりますが、カイ喰いも良く、年齢以上に若々しいですね。」と、同種馬場の山口幸敏場長は目を細める。

 2003年に種牡馬入り後、毎年コンスタントに20頭前後と交配している。「種付けは早いし、上手です。受胎率も良いですね。」と、山口場長はその仕事ぶりを褒める。仔出しは良く、産駒は大きく出る傾向があるようだ。

 現役時代は52戦9勝。平地では1勝に終わったが、障害に転向してから目覚ましい活躍を遂げ、ジャンプ重賞を4勝。2000年、2001年と続けてJRA賞・最優秀障害馬に輝いた。出走した障害レースでは一度たりとも落馬・競走中止がなく、強靭なスタミナと巧みな飛越で障害界の頂点に昇りつめ、一時代を築いた。

 競馬場での優秀な障害馬としてのイメージからは、難易度の高い障害やバンケットに立ち向かう勇猛果敢な馬を思わせるが、種馬場ではたいそう穏やか気性だという。「誰でも触れるぐらい、大人しくて利口な馬です。」と、山口場長は普段の様子を紹介。種馬場に新人スタッフが入ってきた際は、落ち着いた性格のゴーカイかダイタクリーヴァを最初に任せるほどだそうで、若手ホースマンの教育にも一役買っている。

 現在も遠方からファンの方がはるばる再会に訪れているという。ゴーカイのために無農薬のニンジンを贈ってくれる方もいるそうだ。産駒の筆頭オープンガーデンは昨年の中山グランドジャンプ(J・G1)で3着、今年は2着と、父の功績をたどり、新王者まであと一歩だ。山口場長は、「父仔2代のJ・G1制覇を期待しています。産駒がそのドラマを作ってくれたら、ファンも感動すると思うし、競馬も盛り上がるでしょうね。」と、望みを話す。名ジャンパーから名ジャンパーへ、その襷は確実に受け継がれている。