ネーハイシーザーを訪ねて~中橋清牧場
現役時代3度のレコードタイムを叩き出し、1994年の天皇賞(秋)(G1)など重賞5勝をあげた快速馬ネーハイシーザー(大道牧場生産)を訪ねた。現在は新ひだか町三石の中橋清牧場で功労馬として余生を過ごしている。
初夏を迎えた馬産地は日に日に暑さが増してきている。ネーハイシーザーの放牧地へ会いに行くと、今年20歳となる黒鹿毛の馬体が見えた。年齢よりも若々しく映る。
「昨年こちらの牧場に移ってきましたが、環境にも慣れて元気に過ごしています。年齢ほどの衰えはありませんし、夏負けもしないし、病気もせずに頑丈な馬ですよ。人間と同じく健康第一で、長生きして欲しいと思います。」と、語るのは同牧場の中橋清さん。同じく牧場にいる天皇賞馬モンテファストら功労馬仲間と共に、ゆったりとした時間を過ごしている様子だ。
本馬は2歳12月のデビュー。初戦は意外にもダート戦だった。幸先良く白星発進すると、順調に勝ち星を積み重ね、3歳夏には中日スポーツ賞4歳ステークス(G3)で初重賞制覇を飾った。母の父テスコボーイ、父方にはマルゼンスキー~サクラトウコウ~と、日高に根付いたスピード血統はキャリアを重ねて本領を発揮し、古馬となってからは一線級相手にも互角以上のパフォーマンスを示した。4歳秋、後の天皇賞馬サクラチトセオーや同世代のクラシックホース・ウイニングチケット、ビワハヤヒデらを抑えて見事に天皇賞(秋)(G1)を制した。ネーハイシーザーとのコンビで念願のG1タイトルを手にした塩村克己騎手との息の合った走りも、ファンの記憶に印象深く残っているだろう。
種牡馬としてはヒマラヤンブルー(畠山牧場生産)が代表産駒。父と同じく、積極果敢な先行力を武器に、オープン特別・巴賞などJRAで4勝をマーク。1億円以上の賞金を獲得した。少ない産駒数を考えれば、オープン馬を輩出できたのは何よりだ。
「少し気性的にうるさいところがあるので、厩舎から放牧地への出し入れの時は気を付けています。こちらの牧場には天皇賞馬が2頭いることもあり、若い人から高齢の方まで全国各地から見学の方がいらしています。やはりネーハイシーザーを現役時代から知っているファンの方が多いようですね。」と、中橋さん。競走馬、種牡馬としての役目を終え、温かいファンの声を聞きながら、健やかな毎日を送っている。