馬産地コラム

ビコーペガサスを訪ねて~RECステーブル

  • 2010年06月03日
  • ビコーペガサス~1
    ビコーペガサス~1
  • ビコーペガサス~2
    ビコーペガサス~2
  • ビコーペガサス~3
    ビコーペガサス~3
  • 小柄だが、食欲は旺盛です
    小柄だが、食欲は旺盛です
 1994年の京成杯(G3)、1995年のセントウルS(G3)を制し、短距離戦線を中心に活躍したビコーペガサス(アメリカ産)を訪ねた。2006年に種牡馬生活を引退し、現在は新ひだか町静内のRolling Eggs Club ステーブルで功労馬として過ごしている。

 放牧地へ案内していただくと、ムダ肉のない馬体をしたビコーペガサスが草を食んでいた。同牧場スタッフの宮本さんは、「もうすぐ20歳を迎えますが、年齢ほど衰えはありません。よく運動する馬で、エサはたっぷり食べますが、太ることはありませんね。冬場でも馬体はすっきりしています。」と、近況を語る。ニックネームである“ペー”と呼ぶと、愛想良く近づいてくる。

 「現役競走馬みたいな体型ですよ。」と、宮本さんは目を細める。少しでも長く放牧地にいたい性格なので、朝は1番目に放牧し、集牧の時は最後の順番に厩舎へ入れている。宮本さん曰く、“マイペースな馬”というビコーペガサス。心地よく過ごせるようにいろいろと気を配っている。

 「少し怖がりな面があり、その分人を頼りますね。例えば、ハサミやチェーンの音を気にするので、手入れする時はスタッフが歌を歌いながら手入れしているのですよ。」と、宮本さん。馬への愛情を歌に乗せて、恐怖心を和らげている。

 小柄な体ながらターフでは快速ぶりを発揮した。G1では2着が3回。サクラバクシンオー、ヒシアケボノ、フラワーパークといった名スプリンター相手に迫ったが、あと一歩、栄冠には届かなかった。しかしながら、そのスピード能力がG1級のレベルにあることは多くのファンの記憶にとどめた。現役時を知るファンは今も遠方から足を運び、ビコーペガサスとの再会を楽しんでいる。

  「ビコーペガサスはナリタブライアンと同じ最強世代の一頭で、沢山のファンに恵まれた馬だと思います。今でもファンの方が牧場まで会いに来てくれて、馬もきっと喜んでいるでしょう。これからも長生きして欲しいです。」と、宮本さんは願う。優しいスタッフと全国のファンからのエールが、放牧地を歩く足取りをより軽やかにさせている。