馬産地コラム

ダンシングターナーを訪ねて~三嶋牧場

  • 2010年03月16日
  • 三嶋牧場にて余生を過ごしているダンシングターナー
    三嶋牧場にて余生を過ごしているダンシングターナー
  • 同

 2001年の阪神スプリングジャンプ(JG2)を制したダンシングターナー(牡15歳、父ダンシングブレーヴ 母オニバープランス)を浦河町の三嶋牧場に訪ねた。

 本馬は1998年4月にデビュー、4戦目に初勝利を挙げると、芝・ダートを問わず中長距離戦線で活躍し、コツコツと戦績を積み重ね3勝を挙げた。6歳(現5歳)の末に障害に転向、初戦は落馬競走中止とほろ苦い再デビューとなったが、3戦目で障害初勝利を挙げ、5戦目の阪神スプリングジャンプ(JG2)では10番人気の低評価ながら、前年の中山大障害(JG1)優勝ランドパワーが競走中に故障を発生していたというアクシデントがあったものの見事に逃げ切り勝ち、重賞制覇を果たした。

 続く中山グランドジャンプ(JG1)でも3着と好走し、障害競走での活躍が期待されたが、2001年の障害オープン競走を2着入線後に故障が判明し競走馬を引退することとなった。引退後は馬主である三嶋牧場に引き取られ現在は功労馬(アテ馬)として余生を過ごしている。

 本馬が繋養されている厩舎は、数年前に閉鎖された日高軽種馬農協浦河種馬場の厩舎を三嶋牧場が借りる形で繁殖厩舎として使われている。種馬場時代にはグリーングラス、モンテプリンス、カミノクレッセらが暮らした厩舎が本馬の今の住まいとなっている。

 「のんびりした性格で大人しい馬ですよ。」と語るのは三嶋牧場繁殖厩舎の冨岡さん。周りの放牧地には繁殖牝馬も放牧されているが、大騒ぎすることも無くのんびりと過ごしている。日高幌別川を挟んだ向かい側には本馬の生まれた磯部牧場がある。幼少期を過ごした場所と同じ空気を感じて落ち着くのかもしれない。父は偉大なダンシングブレーヴ、時代が時代なら種牡馬としてこの地に繋養されていたのかもしれないが、今の生活も幸せな余生に違いないだろう。
取材班